第7回議員の学校 『大震災と地方自治体の災害対策』

研修報告

日時:平成23年5月19日(日)午後1時から7時
場所:東京都国分寺市 国分寺労政会館
研修内容:第7回議員の学校 『大震災と地方自治体の災害対策』
主催:NPO法人 多摩住民自治研究所

第1講 東日本大震災で明らかになった防災上の問題と自治体防災の方向性
 講師 中村八郎(NPO法人 環境・災害対策研究所副理事長)

今までの防災対策(体系)は応急対策を重視してきており、災害を未然に防ぐ視点が欠けている。これこそが、自治体対応が出来ることである。つまり、災害を未然に防ぐ街づくりの発想が大切である。防災対策の体系は、①予防対策②応急対策③復旧対策④復興対策である。

自治体防災の方向性については

(1)安全性を基本に据えた土地利用計画の推進(土地利用における防災的な観点の導入・ハザードマップの策定と都市計画の連携)

(2)地域防災計画の抜本的な見直し(災害規模の設定と被害想定←想定外の発想をなくす・被害想定に対応した減災目標の設定・予防対策・防災会議への市民防災組織の参画)

(3)地域社会におけるコミュニティを基礎とした対策の推進(コミュニティの衰退を阻止する工夫が必要)

(4)重点対策≪住民の生命・財産に直結する対策≫の推進強化(住宅の耐震化促進対策と公共施設の耐災化対策←応急対策は公共施設で行うから・低地・軟弱地盤地の耐災化対策・急傾斜地の土砂災害対策・被害想定に基づく実際的な訓練の実施。


第一講座の様子

第2講 東日本大震災と都市計画
 講師 野口和雄(都市プランナー)

1.東日本大震災の特徴についての認識①地方都市、住宅地が弱っている時代における災害(少子高齢化・連たん市街地でない・漁村、農村)②広域的複合的継続的災害(500キロ以上に渡る・震災、津波、原発・原発事故収束していない余震、誘発地震)

2.都市計画と災害 都市集中→無縁社会と地方都市・農山村の衰退が顕著であり、コミュニティが崩壊傾向である。大都市一極集中による災害に弱い超高層群。無縁社会から空き家対策が必要


第二講座の様子

第3講 巨大地震と原発
 講師 野口邦和

大規模な放射能放出をともなう原発の大事故は、常に予想外の原因から起こり、予想外の経過をたどって拡大し、予想外の結果をもたらす。何よりも事故の現実から謙虚に学ぶことが必要である。

 

 

■感想
・現状の自治体の防災対策は応急対策が中心であるが、予防対策が重要なことを学ぶ→伊勢崎市防災計画を
もう一度予防の視点で見てみようと思う。*伊勢崎市の防災計画は、市HP組織から探す→総務部→安心安
全課→災害・防犯→伊勢崎市地域災害計画で見られます。
・現在コミュニティ(地域単位)の崩壊傾向であり、共助の体制作りが難しくなっていることを改めて認識
した→地域活動に対しいかに多くの方が参加できる体制作りを研究したい。現状出来ることは、PTA活動
や子ども育成会・社会体育推進委員会主催行事など積極的に参加できるよう工夫や声掛け。また、地元消防
団・女性防火クラブ・交通指導員の皆さんのボランティア活動を手助け出来るよう取り組みたい。
・ペアリング支援の重要さを学ぶ(以下説明参照)
ペアリング支援とは、全国民の力を生かして被災地域の復興を支援する仕組みである。原義は中国語の「対
口(たいこう)支援」であり、中国の四川大地震の復興で大きな役割を果たした。「対口」とは、ペアを組
むという意味である。その内容は、次の5項目にまとめることができる。*同様な≪漁村と漁村、工業都市
と工業都市など≫遠方の市と災害協定を結び日頃から交流することが重要である。
1.復興に向けて、被災地ではない特定の県、もしくは市町村(支援側)が、被災地の特定の自治体と協力
  関係を結び、互いに顔の見える持続的支援を行っていく。
2.支援側は、それぞれの被災地の実情、考え方を踏まえて、人的支援、物資支援、避難所供給、復興まち
  づくり支援など、様々の支援を行う。
3. 国は、この支援に必要となる法の整備(地域復興支援法等)を行い、財源の手当てを行う。
4.自治体間の組み合わせについては、総務省、全国知事会、全国市長会、全国町村会などが、これまでの
  蓄積を活かし、被災地の特定の自治体の規模、被災状況、課題、これまでの支援経過などを総合的に判
  断し、決定する。
5.ペアリング支援の期間は、3年間とする。被災した自治体は、支援自治体の協力を得て、早急に復興目
  標の策定を行い、その実現に向かってともに努力する。
具体的には今回の東日本大震災で神戸市(阪神淡路大震災の経験を生かして)が被災地仙台市をペアリング
支援したとのことです。→伊勢崎市の状況について調査したいと思います(ちなみに本市は災害直後、ひた
ちなか市と八戸市へ支援物資を送っています)。