危機管理特別委員会の質疑 令和2年6月10日(水)
◆大和勲 委員
第一波が落ち着いている状況であるが、第一波の経験を踏まえ、第二波・第三の備えをしていくことが必要。保健所の業務削減について伺うが、感染者が発生した場合、保健所の職員が最前線で業務に当たっており、今後第二波が襲ってきた場合に、保健所の職員の業務を削減することがポイントになる。先日、伊勢崎保健所の職員と意見交換した。感染者が発生した場合は、患者の状況や濃厚接触者、医者からの報告等をまとめて国に報告する業務があるとのことであり、これまでは紙ベースで行っていたが、今後はデータ化する予定とのことである。そこで、国が導入予定の新型コロナウイルス感染症等情報把握・管理支援システムの現状はどうか。
◎感染症危機管理室長
これまでは保健所が聞き取った内容を紙・メール・電話等の手段で県庁を通じ厚生労働省に報告している状況。厚労省でも同じような情報を複数の部署に報告したり、1日に複数回報告を求めるなど色々と見直しの余地がある。感染拡大に伴い、保健所の業務が逼迫する中で、こうした業務の簡素化・効率化が求められていた。また、集計方法にタイムラグが生じていたため、このようなシステムが導入された。
◆大和勲 委員
具体的に稼働はいつか。
◎感染症危機管理室長
当初、国のスケジュールでは5月17日の週から運用開始の予定であったが、事務処理が遅れており、先週末にようやく県庁にシステムのアカウントが示された。現在は保健所で試行運用しており、本格的な運用は6月中旬以降になる。
◆大和勲 委員
試行期間中にシステムの運用についてよく確認してもらいたい。
◆大和勲 委員
クラスターが発生すると、保健所職員の業務が増え、一般質問でも小川議員が質問したが、保健所に確認したところ4月は時間外勤務が80時間を超えた職員が10名くらいいると聞いた。これらの職員の負担を軽減するためには、保健所職員の応援体制が求められる。臨床検査技術士について、保健所10箇所のうち、県内3箇所のみ2名体制で、残りは1名体制とのこと。この1名の方が不測の事態で欠席した場合は業務が滞る。保健所の応援体制はどうか。
◎健康福祉課長
保健所は現場の最前線として大変重要な役割を担っている。臨床検査技師や保健師など専門知識を持った技術職員が新型コロナの対応の中心となっている。こうした技術職員が十分力を発揮できる体制の構築が極めて必要。これまでの支援は、本県で初めて感染者が確認された3月17日から4月当初までは他の保健所から技術職員が応援に行くという相互応援で対応してきたが、伊勢崎管内でクラスターが発生し、業務量が著しく増大し、相互応援だけでは対応しきれないということで、全庁的に応援することとした。一方で、技術職員は人数に限りがあり、事務職員等他職種の応援も必要ということで、4月10日には各行政県税事務所から、4月27日には全体として20人の機動的な応援体制を整えたところである。ただ、こうした職員は必ずしも専門的な知識や技能を持っている訳ではないので、今後は職員の研修や応援を受ける側の業務の整理も進めていく必要もあると考えており、早急に戦力化を図っていきたいと考えている。
◆大和勲 委員
保健所のOBの活用についてどう考えているか。
◎健康福祉課長
技術職OBは現役時代に培った豊富な知識や経験を持っているので、新型コロナの対策に当たって現場に復帰していただき、そうした知識や経験を生かしていただくことは非常に有効と考えている。ただ、OBは再就職をしている方もおり、中には再任用として保健所で活躍している方もいる。また親の介護等の事情で今は働けないという方もおり、必ずしも候補となる人材が豊富にいるわけではない。こうしたことから、過去に遡って人材をリストアップし、個別に事情を確認しながら可能な限り、そのような方の採用の検討を進めていきたいと考えている。
◆大和勲 委員
いざという時は経験やノウハウがある方が重要である。今は70歳75歳で働いている方もいるので、少し範囲を広げて採用の検討に取り組んでいただきたい。
◆大和勲 委員
疑い患者の搬送についてだが、自分では運転できず、家族もいない方については、保健所の職員が医療機関に搬送するケースがあると聞いている。これは本来業務ではないので、民間の救急車の委託や業者の開発が必要だと思うが、現状について伺いたい。
◎感染症危機管理室長
肺炎の症状がある等重症の患者については、救急車の協力をいただいているが、軽症の方は自らあるいはご家族の方の送迎で医療機関に受診してもらっている。中には介護が必要な方や独居の高齢者の方で、自ら又は家族の送迎で医療機関に受診できない場合は、保健所が受診のための搬送を行うことになっている。軽症の方で自らあるいはご家族の送迎が難しい場合は、例えばタクシー等の利用も含め今後しっかりと検討していきたい。
◆大和勲 委員
医療物資確保対策についてだが、マスクや防護服、フェイスシールドなど、新型コロナの感染拡大防止のため、想定外に入手困難になってしまったことから、医療物資確保対策チームを立ち上げたが、これまでの取組状況と成果について伺いたい。
◎感染症対策産業経済支援室長
4月6日に庁内関係部局5部局で当該チームを立ち上げたが、主としてマスク、アルコール消毒液などの衛生用物資に加え、防護用のガウンやフェイスシールド、特殊な物としてはパルスオキシメーターを現場のニーズに応じて確保してきた。特に3月から4月にかけては感染の拡大期ということで、マスクやアルコール消毒液これらの物について確保することが大きな課題であったが、国の厚生労働省の安定供給スキームや医師会の事務局と情報共有しながら物資の確保に努めてきた。今の段階では感染症も落ち着きを見せているが、アルコール消毒液については一定量の確保見込みは立っているが、納期の遅れが聞こえてきているので、余談は許さない状況ではあるが、不足感については一定程度解消されていると感じている。
◆大和勲 委員
県議も業者からマスクを納入できそうだが、県に掛け合ってもらえないかという話もいただいたので、こういった体制があると声がかけやすい。県議もサポートしていきたいので、こうした対策室を立ち上げてもらったことに感謝する。 第二波に備えた物資の取組について伺いたい。
◎感染症対策産業経済支援室長
現在国が制度設計している補助金に対して県内数社が手をあげている。マスクの増産ということで生産拠点の整備に向けて申請の準備をしているが、申請支援や獲得に向けた支援をしっかり取り組んでいきたい。また、県でも国の補助金を補完する補助金制度についても立ち上げたので、県内企業が作った物を県民の方が使っていただけるような仕組みを作っていきたい。
◆大和勲 委員
是非、医療物資の地産地消に取り組んでいただきたいと思う。伊勢崎の業者がマスクを1万枚のマスクを寄贈しながら、その支援について伺ったと聞いた。
しっかりそのような要望のあった企業をバックアップして医療品の地産地消がスムーズにしてもらいたい。