危機管理対策特別委員会の質疑 令和2年12月10日(木)

○大和委員
一般質問で水害対策(流域治水)の中で田んぼダムの話をさせてもらった。時間の関係で一般質問では県土整備部長に答弁いただいたが、田んぼダムについては本来所管が農村整備課とのことで、本日は農村整備課長に田んぼダムについての県の考え方を伺いたい。

●農村整備課長
田んぼダムについては、流域治水の取組の一つであり、通常は、水稲を栽培している水田の排水口に堰板を設置するなどして、豪雨時の雨水を一時的に貯留させることにより、下流へ急速に流出することを抑制し、下流域の湛水被害リスクを低減させるものである。
水源については、洪水防止や水源涵養などの多面的機能を有しており、農業が持続的に営まれることにより、これまでも、小さなダムのように雨水を貯留する機能を発揮している。
一方、田んぼダムは、冠水する時期によっては、水稲の収量が減少する恐れがある、堰板の設置や撤去の作業が必要となる、資機材の調達が必要、または、未整備の地域においては効果が低いなど、農業者の高齢化や減少が進行する中においては、課題も幾つかある。
県内における田んぼダムの取組については、今のところ聞いていないが、県民の大切な生命や財産を守るために、流域治水を進めていくことは必要があると考えており、農業者や市町村等の関係者から意見を十分聞き、協力を得ながら、県土整備部等々連携をとりながら、対応していきたいと考えている。

○大和委員
農村整備課は、米の生産高を上げるために整備をするところであり、田んぼダムを整備すると収穫に影響が出るとも言われているので、地域の皆さんの理解を得ながら、群馬県においても先行事例となるような田んぼダムの研究をしてもらいたい。
新聞等々を見ると、約1ヘクタール、3000 坪に、10 センチの水を溜めると、25m プールの3面分の水を貯めることができ、新潟県においては15 市町村が協力して1 万4640 ヘクタールの田んぼダムの準備がしてあるということである。
ダムを整備するには大変な時間とお金がかかり、農家の方の収穫に対する思いもあるが、そこに住んでる農家の人の財産と生命を守ることも大切だと思うので、研究を重ねていただければありがたい。
続いて、ため池について伺いたい。この質問は、平成30 年10 月であったか、西日本豪雨により広島県や岡山県のため池が決壊し、甚大な被害があったとのことで、本県のため池の状況について質問させていただいた。その際は、重点ため池の数が126 であったが、その後、ため池を判断する基準等が変更されたと聞いているので、現在の状況について伺いたい。

●農村整備課長
平成30 年7月の西日本豪雨において、広島県、鳥取県等で多くのため池が決壊し、下流域で甚大な被害が発生したことから、群馬県においても国の通知等を受け、8月に市町村等と連携し、ため池396 カ所の緊急点検を実施した。また、国では、この豪雨を受け、ため池検討チームを設置し、各県でまちまちであった防災重点ため池の選定基準を見直し、全国共通の新たな選定基準が示された。その基準に基づき、群馬県では平成30 年11 月から防災重点ため池の再選定を行ったところ、126 カ所から206 カ所へと増加しているところである。

○大和委員
国の基準等が変わったということは、ため池の水害対策としての可能性があるということだと思う。財源的に一気に全てを整備することは難しいと思うが、国の補助金等活用し、知事からも答弁があったとおり災害に強い群馬県づくりを目指し、農業振興とあわせて、ため池整備も力強く進めるよう要望する。
続いて、新型コロナウイルス関係についての質問である。執行部、関係者の方々には、連日の甚大なる尽力に敬意と感謝を申し上げる。6月及び9月の本委員会で、最前線で活躍されている保健師また保健所の負担軽減について質問をさせていただいた。最近の新聞や報道で、保健師の人材バンクについての報道があり、OB も活用して登録者を1200 名から3000 名にするとのことである。どのようなスキームか、また、今後本県において患者が急増した場合、どのように活用をしていくのか、その見込みについて伺いたい。

●中島健康福祉課長
国が9月末に創設の方針を示し、11 月中旬から運用が始まった新しい仕組みである。スキームは、感染拡大時、保健師等の業務多忙化により専門職が不足し、県内における職員の応援派遣だけでは賄えない場合に、あらかじめ国から示された人材バンクの登録者名簿の中から、県が個別に支援要請し、勤務条件等の調整を図った上で、協力してもらう仕組みである。
本県に対しては、10 月時点の名簿として約70 人の登録者名簿が国から送付されており、大学の教員や研究機関の研究員、病院などの医療従事者等が掲載されている。県としては、こうした非常に高い見識、知見を持った方に実際に支援をいただくことになれば、大きな力になると考えているが、いずれの方も現役で活躍されており、また、登録者の9割以上は県外在勤者もしくは県外在住者であることから、実際の活用にあたっては様々な調整が必要と考えている。
こうしたことから、県としては当面は、全庁的な応援の強化、県OB の活用等を進め、まずは即応できる体制整備を進めていきたいと考えている。一方で、今後、さらなる感染拡大の局面も想定しつつ、効果的な人材バンクの活用について検討を進めていきたい。

○大和委員
新しい人材バンクということで、試行錯誤があるかと思うが、必要な時に機能しないことのないよう、引き続き研究していただければありがたい。
続いて、通告した質問項目、人工知能(AI)を使った自動電話システムについては、先日の日経新聞で群馬県の先行事例ということで掲載され、同システムについて質問する予定であったが、昨日の読売新聞に内容が記載されてあったので、この質問は省略させていただく。
次に、日経新聞の掲載記事で、新型コロナの陰性通知システムを他県で開発したとのことで、これはスマートフォンの画面上で相手に陰性結果を通知する仕組みであり、これまで電話で通知を行ってきた本県の職員の業務軽減につながるものと考えるが、本県にこのようなシステムを導入してはどうか。

●佐藤感染症危機管理室長
陰性連絡システムは大阪が独自で開発したと聞いている。現在運用に向けて最終確認をしており、まだ稼働していないが、近々実際に使えると伺っている。PCR 検査を実施した際に、患者にID を発行し、あわせて本人のメールアドレスをあらかじめ伺っておき、検査結果が出た際に保健所からメール送信し、患者がID を用いてアクセスすると、結果が分かる仕組みだと聞いている。
群馬県の現状では、検査結果については、陰性の場合であっても、その後の健康観察や予防対策について、様々な指導また連絡等をさせていただいていることから、直ちに陰性通知システムを導入する段階には至っていないが、今後、PCR 検査が大幅に増えていった場合には、研究をしていきたいと考えている。

○大和委員
是非研究いただきたいと思う。過日、自民党の1期生と2期生の会で、岡田CDO に来ていただき、デジタルトランスフォーメーションについて話を聞いたが、岡田CDO は医務課(保健予防課の近く)に席を置いているとのことである。本件は、まさしくデジタルトランスフォーメーションの話だと思うので、岡田CDO の知恵をいただき、保健所職員の業務軽減につなげていただければありがたい。
最後に、看護師の確保について、昨日の新聞であったか、看護師の辞職や差別について記事が掲載されていた。これから本県も益々感染者が増えることが想定され、看護師の需要が高まると思うが、看護師の確保について本県の対応を伺いたい。

●佐藤感染症危機管理室長
病床確保をしたとしても、その病床を運営する医療スタッフの方々がいないと、実際の医療が提供されないことから、医療人材確保については重要な課題であると認識している。
群馬県の場合については、新型コロナウイルスの病床確保については、確保できる医療スタッフの人数やローテーション等の配置計画を確認した上で、病床数を順次積み上げてきたところである。

○大和委員
しっかりシミュレーションしていただき、県民の安心安全を守っていただきたい。
以上

活動報告

前の記事

7回目の一般質問