福岡・北九州・草津研修視察
【福岡・北九州・草津研修視察の意見・感想】 大和 勲
日 時:平成25年8月6日(火) ~8月8日(木)
視察先:福岡市・北九州市・滋賀県草津市
福岡市
災害時要援護者台帳について
福岡市では、災害時要援護者台帳について 学んできました。災害時に寝たきりや一人暮らしの高齢者・障がい者などを安全に避難させることは、共助の観点から大変重要であります。以前と比較し、地域との繋がりの希薄さやアパート・マンションなどの住宅事情による隣人との交流の少なさや無関心等が、指摘されております。このような現状を踏まえると、台帳の整備とどのような方法で名簿を提供し利活用するかが、地方自治体に求められております。福岡市では、市内に居住する65歳以上の高齢者または障がい者などで、災害発生時に一人で非難が困難な方を対象に、民生委員が毎年戸別訪問のうえ災害時要援護者台帳の登録を行っている。平成18年度から、台帳の一部を地域の自治組織へ「災害に備えるための自治組織への個人情報の提供」を開始した(地域への個人情報提供に同意する人が対象)。さらに、平成24年度からは、個人情報の提供に同意した要援護者の避難支援計画を策定する地方の支援団体に対して、個人情報の提供を同意しない人の情報も提供する制度を創設した。この制度の個人情報の内容は、市個人情報審議会の答申により、氏名・住所・電話FAX番号・年齢・性別の最低限の情報となっている。また、情報提供を希望する地方の支援団体は、申請書を市に提出するとともに、覚書書の締結を行う。ただし、同意しない人の情報は、地方の支援団体の代表者に限定し、平時の使用は認められない。以上が、福岡市の取り組みとして大変参考になりました。感想として、名簿の提供を同意しない方の情報を提供したことは、名簿の形骸化を防ぐのに役立っていると思う。本市のこのような取り組みの考え方や災害時要援護者台帳の整備の現状など福岡市を参考に、9月議会一般質問で取り上げたいと思う。
北九州市
ソーシャルメディアを利用した情報発信について
北九州市では、ソーシャルメディア(インターネットを利用した、利用者の情報発信によって形成される媒体でホームページ・ツイッター・フェイスブックなど)を利用した情報発信について学んできました。まず、広報課から25年度の広報事業の概要説明を受け、ソーシャルメディア活用に関するガイドラインの内容説明を頂いた。印象に残ったことは、ソーシャルメディアで発信した情報は、市が発信したものとして受け取られるという認識を持つこと(手軽に直ぐ情報発信できるので、発信には十分注意すること)。次に総務企画局 情報政策室からソーシャルネットワークサービス(SNS)に関する取り組みの説明を受ける。SNS運用担当者の意見交換を行い、職員のSNSに対する意識調査や利用状況調査・職員向け研修を行っており、積極的に活用が図れるよう工夫していると感じた。最後に、実際の利用状況の説明を2部門から受ける。1つ目は、保健福祉局公式フェイスブックの利用であった。心掛けている点として、現状ではサブ的な情報発信(メインは市広報誌・HP)と捉え、明るく楽しい話題提供・緊急性と重要度の高い話題提供とのこと。また、一日一回は更新(掲載)を行うようにしているとのこと。2つ目は、ツイッターを利用した防災・危機管理情報であった。ツイッターは、後で不都合などが生じた場合に削除できるメリットがあるとのこと。両方の利用取組とも、市民からのいたずら・中傷・非難など否定的な書き込み(投稿)はないとのことで、利用しながら改善をしていきたとのこと。感想として、今後ソーシャルメディアを利用した情報発信は、益々求められてくると思う。各手段の特性を生かしながら、どのような媒体の組み合わせが、市民に素早く正確な情報を伝えることが出来るのか常日頃から考えて行きたいと思う(情報伝達媒体の多様化と技術進化に対応できるように)。また、2年前の一般質問で取り上げた、伊勢崎情報メールについて、その後の進捗などを本年9月議会一般質問で確認したいと思う。
草津市
ファシリティマネジメント推進事業について
草津市では、ファシリティマネジメント推進事業について学んできました。ファシリティマネジメントとは、地方自治体などが組織活動のために施設とその環境を総合的に企画・管理・活用する経営活動と定義される。全国的な現象として、高度成長期以降に建てられた公共施設が,築後30年以上経過し大規模な改修工事や設備の計画的な更新が必要となり、維持管理費な年々増大し、厳しい財政を更に圧迫して行くことが予測される。 また、人口減少と高齢化から、今までの公共施設を利用するか利用せず統廃合などを検討することも求められてくる。このような状況下、先進的な地方自治体では、ファシリティマネジメントの取り組みが始まっている。草津市では、平成22年度にファシリティマネジメント推進基本方針を策定し、施設管理者による適切な維持管理による市有建築物の長寿命化を図るとともに、ライフサイクルコストの縮減や財政負担の軽減化・標準化を図っていくこととした。これを踏まえ、平成23年度に、①市有建築物保全計画書を作成 ②市有建築物日常点検マニュアル、保全手引きを作成。③市有建築物維持管理費の縮減方策を提示した。平成24年度には、施設管理者説明会を開催(毎年開催予定)し、ファシリティマネジメントの導入と、上記①~③などを説明し、劣化度調査・建築基準法定期点検を実施。また、同年には 計画的・効率的な保全業務施行を目的に各種データ等を一元的に管理できるシステムを導入した。平成25年度は、公共施設白書作成と中長期保全計画作成した。今後は、以上の取り組みのPDCA(Plan・Do・Check・Action)サイクルを回し、成果を出していきたいとのこと。 感想として、以前からファシリティマネジメントの重要性は認識していたが、改めて全庁的な取り組みが必要であると認識が深まった。また、地方自治体ごとに施設数・道路・橋などの保有数や経年年数、人口の推移などが違うため自治体の状況に則した取り組みが必要だと感じた。本市も橋りょう長寿命化修繕計画・水道耐震化計画などあるが、今後どのように、全庁的な取り組みが行われるか注視したい。また、25年3月議会一般質問でも取り上げたが、民間活力を導入した施設整備(PFIなど)も執行側に提案したいと思う。今回の視察で学んだ点を、本市でも生かせるよう取り組んでいきたい。