講演会 『災害時における多文化共生社会の地域連携について』

日時 24年10月13日(土) 午後1時
主催 群馬県・伊勢崎市
講演会 『災害時における多文化共生社会の地域連携について』
     ~支援される側から支援する側への変化を目指して~
講師 NPO法人 多文化共生マネジャー全国協議会 代表理事 田村太郎

冒頭の開会挨拶にて、県の課長から現在県内には、105カ国42,200人の外国人が暮らしており、約70%の方が今後も住みたいと思っていると話があった。伊勢崎市国際交流課長からは、伊勢崎市に10,000人以上の外国人が暮らしているとの話があった。今回、講演会に参加するきっかけは、本年9月議会一般質問にて外国人との共生について、質問したところ、災害時対応について取り組む答弁があったので、この機会に取り組みを確認したいと思い参加しました。

講演会の講師のコメント

・全国に、外国人は213万人いたが東日本大震災の影響で208万に減っただけである。一時帰国したのは、
日本で入る情報より母国で家族・知人が入手する情報の方がすごいので、身内などから帰国を促す声が多
かったためである(日本のメディア規制≪津波で亡くなった方の放映など≫)。
・災害時に初めて出る日本語がある。電車の「不通」と普通の違い。余震に気をつけるは、何に気をつけ
るのか(高いものが棚から落ちてくるのに気をつける・火のもとに気をつける)などの日本語である。災
害時は、日本人でも不安になるのだから、言葉が充分に理解できない外国人は、「もっと不安である」と
いう事実を認識することが必要である。
・避難所には、食事・寝床・情報が入るといった3つのメリットがある。『避難所』を数カ国の外国語で
表示することにより、①その国の言葉で表示してある外国人が入ってもよいと思う(本来誰でもよいはず
であるが)。②日本人は、その表示してある言葉の外国人が既に避難生活していると思うといった効果が
あるので実施してもらいたい。
・阪神大震災と比較して東日本大震災のボランティアが少ないように思った。考えられる要因は、15年
前と人口構成が違っていることであろう(18歳人口は2010年で約122万人。1995年と比較して70%と減
っている。一方75歳以上は1379万人で192%と増えている)。従って、今後は外国人の方に活躍していた
だくような取組が必要になる。例えば、外国人の消防団の入団や婦人会の入会などである。実際日本では
少子高齢化であるが、外国人は一般永住者が2011年60万。特別永住者が39万人。計約100万人が永住で
きる。
・今後求められるものは、日本人側の発想を変えることである。例えば、外国人を支援される側から支援
する側に育成する・組織を作る。外国人が多いことをプラスと捉える工夫である(空き店舗に外国人向け
の商店を入居させ活性化させるなど)。
・自主防災訓練も大切であるが、避難所内の訓練も今後大切になる。宗教的に外国人は食事制限があるこ
とを、認識しておく必要がある。
・『災害多言語支援センター』とは、大規模な災害が発生した際、避難生活をする外国人を対象に、多言
語で情報提供を行う活動をコ―ディネートする組織である。2009年3月に「多言語支援センター立ち上げ
マニュアル」を公開しているので、インターネットなどを通して確認して欲しい。
・多文化共生社会の形成は、災害時にも生きる。なぜなら、これまでの人口構成を前提とした防災体制は
限界であること。従って、外国人も参画する地域防災体制を構築すべきである。また、人口変動を考慮し
海外からの援助隊の受入れ体制の整備も急務である。

感想
改めて、少子高齢化の影響が多岐にわたることを認識した。都市間競争に勝って、人口が増える もしくは減らない施策が大切である。また、伊勢崎市は県内で外国人が最も住んでいる市町村である。どうしても外国人が多く住んでいると生活文化の違いによる住民間の摩擦や犯罪といった負のイメージを抱くが、冒頭に話があったように、外国人の70%は今後も日本で暮らしたいと思っているのだから、日本人側が意識を変えて共生できる社会を構築する必要があることを痛感した。外国人の方々が、多く暮らしてくれて良かったと思える工夫を考えてみたい。