令和4年 定例会子育て・障害者支援に関する特別委員会
令和4年第2回定例会子育て・障害者支援に関する特別委員会6月10日
◆大和勲 委員
まず、幼稚園、認定こども園、保育所、小学校の連携(はぐくみプラン)の現状について聞きたい。これについては、平成31年2月27日の一般質問で取り上げた内容の続きである。公立幼稚園と小学校については文部科学省と教育委員会の連携が図れていると思うが、私立保育園やこども園の卒園児が多数を占めており、この子らが小学校に入学するに当たっての連携はどうなっているか、という質問であった。当時の笠原教育長からは「就学前のぐんまの子どもはぐくみプラン」を策定中であるとの答弁があった。このプランは翌年度から始まったが、このプランに基づく連携はどのように図られているのか。
◎春田 義務教育課長
幼稚園教育要領、保育所保育指針及び幼保連携型認定こども園教育・保育要領において幼児期の終わりまでに育ってほしい姿が共通に示され、それとともに、幼児教育と小学校教育との円滑な接続が重視されている。幼稚園、保育所、認定こども園及び小学校が連携の在り方や方法について、共通の認識を持つことが重要である。県教育委員会では、各幼児教育施設に通うどの乳幼児にも共通した、育てたい姿として「豊かに遊び、ともに生きていることに喜びを感じる子ども」を掲げ、その実現に向けて「就学前のぐんまの子どもはぐくみプラン」を策定して、県内全ての幼稚園、保育所、認定こども園及び小学校に配布し、活用してもらっている。
このプランについては、幼児教育を専門とする大学教授、公立・私立の幼稚園、保育所、認定こども園の園長・所長、小学校長及び県の担当課長等による、幼児期の教育及び保育の充実に向けた「『就学前のぐんまの子どもはぐくみプラン』推進会議」を毎年開催して、その中で協議された意見を参考に取組の充実に努めている。年に2回、県内全ての幼稚園、保育所、認定こども園の職員を対象とした「群馬県幼稚園教育課程等研究協議会」を開催しているが、今年度の1回目として「幼児教育と小学校教育の円滑な接続の推進に向けて」をテーマに、文部科学省の調査官による講演等を予定している。加えて、連携の重要性を踏まえて、小学校教員にもこの協議会への積極的な参加を促している。また、総合教育センターにおいても、小中学校教員を対象とした研修の中で、児童教育や講習連携について学ぶなど、各教育の接続に対する意識の高揚を図る機会を設けている。今後とも関係各課等と連携しながら、幼児期と小学校の円滑な連携に向けた取組の充実に努めていきたい。
◆大和勲 委員
私もこども園の運営に携わっていて、教育委員会の壁を少し感じているところだが、連携に向けて取り組んでもらっていることは大変ありがたい。保育所やこども園の現場の先生から出た意見、要望等には、ぜひ対応してもらいたい。また、教育委員会が主体だが、保育所やこども園の所管課には、小学校との連携が課題になっている現場のニーズをしっかり酌み取り、縦割りを廃して、しっかり連携してもらいたい。
社会情動的スキルは、本会議場での質疑でも取り上げたが、幼児期にこそ形成できると思っている。調査の対象を高校1年生とすることについては、これはこれで価値があると思うが、「始動人」を作るのであれば、小学校に上がる前に保育所やこども園に行っている子供たちをしっかりとケアするという発想で連携が図れるように取り組んでもらいたい。このことを要望して質問を閉じたい。
次に、保育現場においては、保育人材が不足しているのではないか。私も度々一般質問等で聞いているところである。県の基準は国の基準よりも手厚いが、採用しようとしてできなかった保育人材が、平成31年度においては396人、令和2年度においては342人であったが、令和3年度はどのくらいか聞きたい
◎廣田 私学・子育て支援課長
令和3年4月1日時点では291人であった。ここ3年間、減少傾向にある。
◆大和勲 委員
徐々に減少しているものの、300人に近く、採用したかったができなかったという現場の声は事実なのだと思う。本県に保育士・保育所支援センターを設置できないか。自分も一般質問等の機会に働きかけてきたが、群馬県福祉マンパワーセンターにおいて、もう少し充実させつつ、保育人材を確保していきたいという方向性が出ていると思うが、その活動内容について聞きたい。
◎廣田 私学・子育て支援課長
県社会福祉協議会に昨年4月、群馬県福祉マンパワーセンターを包含した福祉人材センターが置かれ、昨年度下半期から保育士・保育園支援プロジェクトが始まった。このプロジェクトの中で、県内の保育人材の確保・育成・定着に取り組んでもらっている。保育士・保育所支援センターの機能については、福祉人材センターが担っている。具体的には、保育士向けの支援として、就労あっせん・マッチング、就労に向けた相談支援業務、潜在保育士同士の懇談会の設置などの事業を展開している。また、保育園向けの支援として、採用力向上のためのレクチャーや育成・定着支援セミナーを開催している。始まってまだ間もないプロジェクトであるが、県の向かう方向も同じだと認識している。県社会福祉協議会と連携して人材を確保したい。
◆大和勲 委員
福祉職の人材不足もある。保育関係に限らず、国とも連携して、福祉人材を確保できる仕組みを考えてもらいたい。質問の聞き取りの際、担当者から、保育の登録制度も含めて力を入れていきたいという力強い言葉をもらった。保育士が足らないという声が現場にはある。しっかり寄り添ってもらいたい。
令和 4年第3回定例会子育て・障害者支援に関する特別委員会10月6日
◆大和勲 委員
9月の県外調査においては、子供を預かる立場として大変勉強になった。委員長に素晴らしい視察先を選定していただいたことに感謝申し上げる。視察を通して課題を認識し、また医療の進歩によって生き延びる可能性がなかった方が生き延びて、生活している状況を確認できた。熊本大学病院で示された数字も現状の把握に役立った。
本県の保育所やこども園における、医療的ケア児の受入状況について聞きたい。
◎廣田 私学・子育て支援課長
前年度の「保育所等における医療的ケア児の受入れ状況」について、毎年、国が調査している。その結果を見ると、令和3年度においては2市5施設で5名を受け入れている。この調査は令和2年度から始まった。令和2年度においては6名を受け入れている。
◆大和勲 委員
一桁の人数とはいえ、利用者がいることが確認できた。私が運営しているこども園にも、喀痰吸引をしている児童が来られて話をしたことがあったと園長から聞いたことがあった。最終的に申込みはなくやりとりもそれきりになってしまったが、同様の問合せが少しずつ増えてくると思った。医療的ケア児の受入体制を作っていくことも施設運営側に求められている。相談を受けて市町村や県に状況を確認することになると思うが、医療的ケア児を受け入れるために県が行っている支援の補助メニューがあれば、国のものも含めて聞きたい
◎廣田 私学・子育て支援課長
体制整備の補助金が一番大きい。保育対策総合支援事業費補助金は厚生労働省の補助金だが、メニューの一つに医療的ケア児保育支援事業がある。これが医療的ケア児を受け入れるための体制整備の補助金である。園に対しては、看護師等の配置費用は年額で529万円を上限として、研修受講費用は年額で30万円を上限として、補助者の配置費用は年額で217万円を上限として、それぞれ補助する。市町村に対しては、例えばガイドラインの作成費用や検討会議の開催費用も補助対象としてメニュー化されている。国、県、市町村が費用を負担して、民間設置者には負担がない補助体制になっている。この活用を各市町村や各園に案内している。
◆大和勲 委員
かなり恵まれた助成だと思う。市町村等に案内をしてもらっているそうだが、子供たちが各園に来て、各園が市町村に照会した場合どのように対応してもらえるのか。また、希望する子供たちがいなくても前もって仕組みがあることを各園に知らせるべきだと思うがどうか。
◎廣田 私学・子育て支援課長
この補助金は令和2年度から、3年目の事業である。まず前年度に各市町村に補助金を紹介して、来年度利用するつもりがあるか聞くところから開始する。ただ待っているだけではなく、県から制度を紹介し、理解してもらった上で前年度から準備していくため、知らないということはない。
◆大和勲 委員
受け入れる側は命を預かることを非常に意識して受け入れなくてはならない。公的機関のアドバイスや情報も大切なので、今後も御支援いただきたい。
次に、子供たちのバスへの置き去り事件について聞きたい。働いている保護者が保育所やこども園に預けるに当たっては自分の車で子供を送ることから、バスの利用はそれほど多くないが、幼稚園のバスについては走っているのを見かける。
本事件については、バスの点検がまず必要だったし、クラスの担任も子供が来ておらず保護者からの連絡もない場合にそのままにするのではなく、園から保護者に連絡して子供の状況を確認すべきだった。チェックの仕方はいろいろあると思う。ケアレスミスが重なって今回の悲しい事件になったと思う。昨年度は福岡県で、今年度は静岡県で子供が亡くなった。また、9月23日には沖縄県で、携帯電話で母親に連絡して命には問題がなかったが、小学生が取り残された事件が立て続けに起こった。一番責任があるのは預かっている施設だが、県が置き去り事件の対策や対応として、どのような取組をしているのか聞きたい。
◎廣田 私学・子育て支援課長
昨年度の福岡県、今年度の静岡県の事件の発生を受けて、本県も対策をとっている。まず、昨年7月の福岡県の事件を受けて、今年4月から「登園時・園外活動時の人数のダブルチェック」と「送迎バスの乗降確認」を自主点検項目に加えた指導監査を始めた。また、今年8月から、バスの置き去りを含めた「迷子、置き去り等の発生」について、県への報告を義務化した。それまでは重大事案として、亡くなった場合や大きなけがをした場合、事後に報告するシステムだったが、それを改めていわゆるヒヤリハット的な、起こる前の状況から知らせてもらえるよう見直した。その後、9月5日の静岡県の事件を受けて、同月7日付けで国の通知に基づき、安全管理を徹底するため、注意喚起をまずは行っている。翌8日には県独自の調査として、安全管理に関する取組状況調査を各園に依頼して状況把握に努めている。また、国は、9月9日にバス送迎に当たっての安全に関する緊急点検と実地調査に係る通知を発出した。この通知を受けて、県から各市町村を通じて、各園に緊急点検を依頼した。あわせて、年内に実地調査をするための準備を進めている。国においては、この緊急点検を踏まえて、今月中に新たな緊急対応策をまとめることにしていて、9月29日の関係府省会議では安全装置の設置の義務化、「安全装置の仕様のガイドライン」、「安全管理マニュアル」の作成を基本方針と位置付けて進めている。
県としても、子供の安全確保は保育の基本であると考えて、各保育施設が事故防止対策に確実に取り組めるよう、国の再発防止策をよく確認した上で具体的な対策を進めていきたい
◆大和勲 委員
いろいろな通知や指導があって、対策が進んでいるのを感じた。安全装置を付けるなどハード面の対策も、点呼のダブルチェックをマニュアルに取り込むなどソフト面の対策も大切である。これだけはミスがあってはならない。私も改めて襟を正したい。子供たちがバスに置き去りにされないようないい事例があったら各園に知らせてもらいたい。
令和 4年第3回定例会子育て・障害者支援に関する特別委員会12月9日
◆大和勲 委員
保育所における児童虐待について、静岡県裾野市、富山市のほか、仙台市の認可外保育所においても発生しているが、担当課はこのことについてどのように考えているか聞きたい。
◎廣田 私学・子育て支援課長
ここのところ発生している事案には非常に心を痛めている。保育施設は安心して子供を預けられるようでなければならない。保育士による園児への不適切な行為は当然あってはならない。特に静岡県の事案においては、その事実を組織的に隠蔽していたようである。本来是正を図るべき園が隠蔽をするとは言語道断である。
◆大和勲 委員
これから保育園はもちろんのこと、保育園を所管する市町村、そして県、国がそれぞれ対応することになるだろう。国においては、加藤厚生労働大臣が実態調査に言及したようだ。現在どのような対応が考えられるのか聞きたい。
◎廣田 私学・子育て支援課長
12月6日に加藤厚生労働大臣が会見の中で虐待対応の早急な注意喚起や実態調査を行うという発言があった。12月7日、8日付けで厚生労働省と文部科学省からまず注意喚起の通知があった。本県でもそれぞれ翌日の8日、9日に各施設、市町村等にそれを周知した。実態調査については、国から別途示されるとのことである。まずは国と協調して取組を進めていくのが基本だと考えている。県独自の施策については、今回の事案には保育士本人の問題のほか、園の組織風土的な問題、園長の認識の問題、市町村の行政の問題等が入り交じっているため、保育団体等の関係者と意見交換をして、いろいろな知恵を借りながら進めていきたい。
◆大和勲 委員
本当に難しいだろうが、あってはならない事案だと思う。私も子供を預かる施設にいるが、皆が思っている以上にこの虐待は根深いと思っている。職員の採用面接において応募者に前の勤務先を辞めた理由を尋ねると、例えば、教えたことができなかったため陰で子供をつねっているところを見て「ここでは働けない」と思って辞めたというような答えがあった、とも聞いたことがある。私は、子供たちに100%を求める保育をしていくとこのような事案に繋がると常々思っている。いろいろな考え方があるだろうが、まずは子供を受け入れる保育をやってもらいたい。
また、仙台市の事案においては、記事を読むと、防犯カメラにより事実が確認されて発覚したそうだ。防犯カメラは、事実確認ができるほか抑止力があり、また疑いから保育士を守るのにも役立つ。ただし、費用がかかるため、国に支援を求めてもらいたいし、応援をもらいたい。この事案については、子供の関係者、全県民、国民が大変心配している。丁寧な対応、また、二度と発生しないような指導をお願いして質問を終わりにしたい