研修「主催 財団法人 日本自治創造学会」

【研修報告】
場所:東京 明治大学内ホール
日時:平成25年5月23日・24日
主催:財団法人 日本自治創造学会
内容
1.地方議会改革のこれから 講師 中邨 章氏
これからの議員像 1)国・首長に立ち向かう議員 2)外部志向(外にアンテナを張る)のつよい議員
3)ITCを駆使できる議員 4)勉強する議員、族(専門化)を目指す議員 5)昔を振り返らない議員

2.政権交代と自治の行方 講師 神野 直彦氏

3.これまでの地方分権の取組みと今後の課題 講師 青木信之氏

4.考えよう、国と地方の仕組み 講師 穂坂 邦夫氏
国・県・市町村の三重行政のムダが様々な形で顕在化している。その原因は、日本式中央集権システムで許
可権限と共に交付金や起債、あるいは補助金によって国・県・市町村の支配構造がしっかりと確立されてい
るため。したがって、三者の役割分担を明確にし責任の所在もはっきりさせるように、中央集権システムの
解体を必要である。このような目的があって道州制を目指すなら価値がある。

5.パネルディスカッション 新政権と高齢者医療・介護制度改革の行方
パネリスト 江利川 毅氏 澤井 勝氏 森田 朗氏  コーディネーター 佐々木 信夫氏
内容:一人当たり医療費の抑制・在宅医療・健康づくりが、キーワードである。長野県の医療費は低い、な
ぜか検証する必要がある。介護認定率は、全国で17~18%である。和光市や稲城市は認定率が低いの
で、自治体の工夫がある。今後、地域包括支援センターの強化・立て直しが求められる。元気な高齢者に活
躍頂く(ボランティア・生活支援など)ことを検討する。自・共・公助更に 互助(隣組・自治会・NPO
法人)が求められる。夕張病院の村上智彦氏の本(調べたところ「ささえる医療へ:HS」や「医療にたか
るな:新潮新書)などの著書あるので、購読予定」)が参考になる。医療・福祉政策を変革させて来たのは
市町村であるので、創意工夫が求められる(包括支援センターの見本が広島県旧御調町ミツギマチ 現尾道
市にあったとのこと)。今後は、働きたい人はいつまでも働ける仕組みが求められる。

6.新政権と国・地方の財政課題 講師 林 宣嗣

【新政権と国・地方の財政課題】
2035年までの人口と労働力人口の予測から、地方においては人
口減に増して労働力の減少が著しい(若者の転出により)。
人口増減率と財政力はデータ的にも比例している(つまり、人
口減は財政力減になる)。地方ほど民間の力が必要になるの
で、PFI事業など活用すべきである(民間へビジネスチャン
スを作ること)。東京一極集中にブレーキをし、地域経済再生
の環境整備をする必要がある。自治体の果たすべき役割は、
「地域の課題を民間部門や他の地域と協力して解決するとともに、地域力の強化と魅力の向上を図る」こと
である。そのためには、「公民連携の守備範囲の拡大」であり、「地域再生と持続可能性の確保・地域経
営」が求められる。

7.地方分権と道州制 講師 上山信一
道州制の議論は、上からの道州制(ハコ・エリアを決めてどうするか?という発想)でなく、下からの道州
制(地域の観光・商業などの発展という目的)が必要である。道州制を巡る3つの着眼点は、①統治機構改
革 ②国の出先の統合 ③府県合併。それに加え、新たに加える3つの着眼点は、1)地域経営の視点
2)財政再建の視点 3)政治の分権化である。

8.企業家から見た被災地の復興と地方の再生 講師 渡邉美樹(株ワタミ会長・陸前高田市参与)
第一印象として、考え方が前向きである(活躍している経営者の特徴だと思う)。参与として心掛けている
3点、①その地でしかないものを世界に売る ②陸前高田に人を呼ぶためのブランディング(思い出作り)
③企業誘致

9.TPPを通じた構造改革を 講師 八代尚宏(元総合規制改革会議委員)

10.TPPと地方への影響 講師 原田 泰(早稲田大学政治経済学部教授)

【TPPと地方への影響】
・TPPは国内市場(農業・サービス業)の構造改革の契機
・TPP反対論のうち農業以外は被害妄想
・政府は農業保護の支出を覚悟している
・日本経済全体を強くするTPPに参加するのは当然
・農業県を見ても製造業の比率は大きい方
したがって、TPP参加により日本全体の経済力を高め、農業を
守る(直接支払いによる)ことが出来る。

11.TPPへの不参加と地方への悪影響 講師 宮台 真司(首都大学東京)
・TPPは農業復活の最後のチャンス(TPP賛成)
・TPPの参加国中 日米で貿易額の9割の構成比があるのに多国間交渉となるので発言力は低下する
(TPP参加反対)

感想:10.11.を聞く限りでも賛否両論(農業に関しても)があることが分かった。いずれにしても7月23
日から交渉参加するのであるから、出来る範囲で情報公開をして頂き議論を深めることが大切だと思う。
二日間に渡り、いろいろな観点から議論や講演がされた。地方分権・道州制、社会保障、TPPなど課題は
山積しているが、当事者意識を持って動向に注視したい。特に社会保障(医療費抑制)などは、地方自治体
でも取り組めることもあるので研究した。この研究大会で教えて頂いた村上智彦氏の「医療にたかるな」を
読んだが、大変参考になった。特に予防医療の大切さを学べた。

市政報告書

前の記事

市政報告書