令和5年第3回後期群馬県議会会議録

〇安孫子 哲議長

大和勲議員御登壇願います。

(大和 勲議員 登壇 拍手)

〇大和 勲議員

皆さん、おはようございます。伊勢崎市選出の自由民主党県会議員の大和勲でございます。
まずは、少し時間がたってしまいましたけれども、4月に行われた県議選では、今日お越しの皆様を中心とした後援会、また御支援者の皆様の御協力をいただきまして、3期目の当選を果たすことができました。本当にありがとうございました。

そして、当選できたからこそ、今回、11回目の一般質問の登壇の機会もいただきました。大変感謝申し上げる次第であります。
また、本日は、コロナ感染後、5類になったということで、久しぶりに傍聴の御案内を差しげげましたところ、地元から多くの後援会の皆さん、また支援者の皆様にお集まりいただいたことも感謝申し上げる次第であります。

今日は、まず最初に、知事にトップ外交についてお伺いし、最後には、今、社会的な課題になっております持続的な賃金向上のための価格転嫁についてお伺いをしていきたいというふうに思っております。どうぞ皆さん、よろしくお願いいたします。
それでは、知事、お願いします。

〇安孫子 哲議長

知事、答弁席へ。

(山本一太知事 登壇)

〇大和 勲議員

それでは、まず最初に、1項目め、トップ外交についてお伺いしたいと思います。
10月25日から4泊5日で、知事はベトナムを訪問しました。今回のベトナム出張の最大の特徴は、群馬銀行さんを含む29社の県内企業が同行したことと伺いました。また、チン首相やズン計画投資大臣と面談されました。

11月8日からは、8泊9日で、英国スコットランドと米国のシリコンバレーなどを訪問されました。スコットランドでは教育関係機関を訪問し、米国では先進企業を視察したと伺いました。
双方の外交はとても充実した内容だったと新聞やブログで拝見をしましたが、改めて、一連のトップ外交に関する知事の所感についてお伺いしたいと思います。

〇山本一太知事

御質問ありがとうございます。今日は、傍聴席に駆けつけられた大和政調会長の大勢の支持者の皆さんの前で御答弁をさせていただきたいと思います。
私が取り組むトップ外交は、知事自らが各国政府の要人と直接会談をしてハイレベルな人脈を構築する等の、これまでの常識にとらわれない新しい形で展開する地域外交だというふうに考えています。また、海外を含めた様々な分野の先進事例を把握することによって、新たな富や価値を創出する群馬モデルを構築し、国内外に発信したいと、こういう目的で行っている取組です。こうした考えのもとで、今、政調会長からも言及がございましたが、今年の10月にベトナム、11月にスコットランド及びアメリカを訪問してまいりました。

今回ベトナムには、これも今お話がございましたが、政府要人との人脈構築を主な目的として訪問してまいりましたが、ベトナムは近年、成長著しい有望市場として、商品・サービスを売り込むための投資先に変わってきています。そこで、昨年の訪問時に国家主席と約束したとおりに、群馬銀行を中心とした県内の様々な業種、例えば製造業、デジタル、小売、医療、建設、こういう県内企業29社にも御同行いただいて、政府要人との会談とか視察を行ってまいりました。

まず、ベトナムのチン首相と会談をして、経済、教育、文化の交流の深化について意見を交換いたしました。次に、今回同行している県内企業団が合計77億円ものベトナムへの投資を予定しているということをお伝えしたところ、チン首相からは、訪問に対する感謝に加え、来年もぜひ来てほしいと、こんな御発言があって、ベトナム政府の群馬県に対する高い期待を感じました。
さらに、ズン計画投資大臣と会談を行い、県内企業が今後ベトナムに進出する際の課題解決のために、議論の場を設けることでも合意をいたしました。

私は、群馬県の企業がベトナムで活躍するためには、まずはトップ同士のハイレベルな人脈構築が重要だと考えております。その点で言うと、今回チン首相との会談ができたこと、さらに、実務レベルで具体的な議論ができる形をつくれたのは、地方自治体としては非常に画期的な成果だったと考えています。
こうした関係構築ができたことによって、例えばベトナムみたいな国は結構制度変更が多いんですけれども、こういうときに群馬県の企業が活躍するために必要なことについては、大体大使館とか国を頼るんですが、そういうところを頼らずに、群馬県知事が直接政府首脳と交渉できる、こういう体制をつくれたというふうに確信をしています。

今後もベトナム政府と連携し、相互投資の促進や高度人材の育成、将来的なベトナムデジタル企業の誘致など具体的な成果につなげられるよう、しっかりと今回の出張を生かして成果に結びつけたいと思っています。

続けて、スコットランドですが、スコットランドは、非認知能力を強く意識した独自の教育を実施しているSEL教育、いわゆる社会情動スキルというものですけれども、この教育の先進地です。群馬県は、この一般質問でも何度か御報告をしましたが、日本で唯一、OECDの社会情動的スキル調査、非認知能力、偏差値とか学力だけじゃない能力ですね、この調査に参加しておりまして、非認知能力の育成に全国でも先駆けて力を入れています。このことから、OECD関係者から訪問先を御紹介をしていただいて、スコットランド教育庁、ダンディー市、ダンディー大学を訪問し、群馬県とのSEL教育に関する共同研究を進めることで合意をいたしました。

スコットランドは、OECDが実施したPISA調査、御存じと思いますが、これにおいて、グローバルな社会で生き抜くためのグローバル・コンピテンス評価というもので言うと、世界第3位グループに実は位置しています。一方で、スコットランド側からお話があったのは、日本はPISA調査の数学的リテラシーとか科学的リテラシー評価では常にトップグループです。加えて、規範意識が比較的高いということについて、向こう側も関心を持っていました。両国がそうしたお互いの強みを相互に生かして、この協力を進めていきたいと思っています。

また、先進的な教育カリキュラムを取り入れている現地の学校も視察をいたしました。大和政調会長にも見ていただきたかったなと思うんですが、今後、小学校から高校までの人材交流プログラムづくりなども含めて、具体的な取組を進めていきたいと思っています。

スコットランド訪問、今回が初めてだったんですが、非常に親日的です。来年にもできればスコットランド祭りをやりたいと思うくらい、群馬県とスコットランドの関係構築には大きな可能性を感じました。

続けて、アメリカについて申し上げたいと思います。アメリカでは、高崎市の富岡市長と合流をして、サンフランシスコのシリコンバレーで、スタンフォード大学とか、あるいはスタートアップ企業などを訪問いたしました。

今、高崎市と連携して進めている堤ヶ岡飛行場跡地の活用、後で松本議員からもたしか今日質問があると記憶がありますが、この活用に向けて、現地の先進的な技術や取組を視察するということが目的でした。今回訪問したスタートアップ企業は、いずれも群馬県に高い関心を示しておりまして、今後の対応について関係部局に検討を指示いたしました。

そしてロサンゼルスでは、世界最大の動画配信サービスを提供するNetflixを訪問いたしました。クリエイティブの発信源の実現に協力を求めるために、私自ら本社幹部に熱を込めてプレゼンを行いました。Netflixに乗り込んでいく知事は誰もいないと思いますので、これは相当魂を込めてぶちかましてまいりました。

さらに、TUMOロサンゼルスの建設予定地、TUMOはここでも何度か御紹介しましたが、アルメニアで開発されたIT人材育成プログラムです。これは群馬県においても導入を検討しております。このハリウッドの施設はTUMOのアメリカ初の拠点で、デザインとかビジョンについて話を伺う中で、群馬県が今、引っ張ってこようとしているTUMOの可能性の大きさを確信することができました。

アメリカ訪問を通じて、Netflixのような企業を群馬県に呼び込むためには、デジタルクリエイティブ人材の育成はもちろんですが、クリエイターが活躍できる環境整備、エコシステムを整備するという必要性を感じました。これは決して簡単な道のりではありません。しかしながら、実現に向けて、何とかこの群馬県を、クリエイティブ産業、エンタメ産業の拠点にするために道筋をつけたいと、こういうことを強く心に誓って帰ってまいりました。

まとめて言うと、今回の渡航によって、群馬県のトップ外交で、ようやく4年かかって私の理想とする姿が見えてきたというふうに感じています。引き続きトップ外交での成果をしっかりと上げ、やっぱりトップが熱意がなければ企業誘致も何も進みませんので、先頭に立って、県民の幸福度向上につながるように、群馬モデルの一環として、このまだ誰もやっていない独自の地域外交にしっかりと取り組んでまいりたいと、このように考えています。

〇大和 勲議員

知事、ありがとうございました。まずベトナム訪問については、今、ハイレベルな人材の構築ができたと、人間関係の構築ができたということでありました。

それと、上毛新聞を見ましたところ、県内にゆかりのあるヨコオさんの記事が載っていましたけれども、その記事を見ますと、今までは中国に工場が一極集中していたわけですけれど、チャイナプラスワン、いろいろな経済関係、政治的な課題を考えると、もう一つ工場を持つことが重要なんだという、そういった中で、ベトナムは非常に有望なんだという記事だったと思いますけれど、また、その進出するに当たってはいろんな規制があるということで、それについても知事を含めて御相談されたという記事だったと思います。しっかりと県内企業が活躍できるような体制づくりをしていただいているんだなと改めて感心したところであります。

それと、イギリスとアメリカにつきましては、知事が2期目の選挙のときもおっしゃっておりましたけれども、やっぱり知事の一番の思いは教育に関してという部分、もう一つはデジタル人材、クリエイティブ人材を育てていく、またそういった業界をつくり上げていくということが根っこの部分にあるなと改めて思っていまして、そういう意味では、ダンディー市とかダンディー大学を訪問して、いわゆる社会的情動スキルの関係のまた構築ができたという部分、それとアメリカのほうでは、デジタルクリエイティブということで、そういった現場も見ながら、また最新技術も見られて、大変そういったものが今後に生きてくるのかなというふうに思っております。

私も、ライドシェアのUberですけれども、経験したことがありまして、この間、宇留賀副知事と話しましたら、サンフランシスコでは無人の自動車が走っていたということでありましたけれども、やっぱり経験してみないと、この技術のすごさというのは分かりづらい部分がありますので、知事はそういった経験も踏まえて今後の群馬県を考えていらっしゃるんだなと改めて思ったところであります。

それで、このトップ外交、いろいろと県内を調べてみますと、群馬県は友好都市というのがあまり、サンパウロ州だけだと思っていますけれど、そういった友好都市を締結しながら連携をしていく、これからいろいろな外国を回られると思いますけれど、そういったお考えを知事はどのように思っているか、できたら御答弁いただければありがたいと思います。

〇山本一太知事

御質問ありがとうございます。
今、政調会長がおっしゃった友好都市、これは非常に、地域のいろんな取組を取り入れていく、あるいは投資を呼び込んでいくためにも、相互に非常に有効な手段だというふうに思っています。

例えば今、群馬県はインディアナ州との連携を深めておりまして、友好都市みたいになるためにはもうちょっといろんなことを積み上げなきゃいけないんですけれども、インディアナにはSUBARUがあって、いろんな意味で日本の投資がアメリカで一番多いところなので、こういうところとしっかりと連携を結ぶためにも、例えばインディアナと群馬県が姉妹協定を結んでいくようなこともやっていかなければいけませんし、今回、スコットランドに行ったり、あるいはベトナムに行く中で、やっぱり日本の地方都市といろんな連携をしたいというニーズが物すごく高いんですね。こういうことをよく市町村長とも御相談しながら、いい意味で、このネットワークをつなげていくということは、市町村の発展にもつながりますし、群馬県を発展させることにも結びついていくと、このように感じております。

〇大和 勲議員

知事、ありがとうございました。
それと、24日、知事の政経セミナーがあったときに知事がおっしゃっていたのは、アングロサクソン系の人とは、トップ同士でやらないと、まず構築はできない、その熱弁をされていましたけれど、やはり社会慣習、風習、そういったものを考えると、やはり知事が出ていく必要が十分にあるんだなと改めて思ったところでありますので、ぜひまた、体調管理に気をつけていただいて、トップ外交をよろしくお願い申し上げまして、この質問を終わりにしたいと思います。続きまして、企業管理者、お願いします。

〇安孫子 哲議長

企業管理者、答弁席へ。

〇大和 勲議員

次に2項目め、県内発電所の売電契約の見直しについてお伺いをしたいと思います。

本県は、パネルで示したとおり、〔資料①提示〕水力が33か所、汽力が1か所、太陽光が3か所で、37か所の発電所があります。令和4年度の年間供給電力量は約8億7,000kWh で、全国の公営電気事業者の中で第1位であります。まさに上毛かるたでうたわれている「理想の電化に電源群馬」、電源群馬にふさわしい状況であります。

第2次群馬県企業局経営基本計画における電気事業の経営方針では、収益力の向上と効率的な運営を挙げています。そのポイントは、電力システム改革後の電力小売の全面自由化を最大限に利用することです。令和5年度で契約が終了する県営水力発電所の年間供給電力量は約6億kWh になります。

県では、令和6年度から売電に向けて、ちょっとパネルを替えますが、〔資料②提示〕このパネルが示すとおり、供給先事業者が、県が選定する地産地消型PPA、いわゆるパワー・パーチェス・アグリーメント、電力販売契約を構築しました。これが一般的な流れでありまして、これが今回、群馬県で構築した流れであります。群馬県が事前に供給先の事業者を決める、そしてこの供給先というのは環境活動や地域貢献をしている事業者なんだという流れであります。

1億 kWh の募集枠に対して、応募は25社で2億8,000kWh あり、選定の結果、10社で1億2,000kWh と決まりました。今回の売電価格は1kWh 当たり15円ということでありますけれども、環境価格も含めて、価格設定と聞いておりますので、従前価格よりは高い設定ができていると期待しております。まず、この地産地消型PPAの進捗状況についてお伺いしたいと思います。

また、残りの約4億5,000kWh では、この手法を利用せず、一般競争入札を実施すると伺いました。1円高く販売できれば4億5,000万円の収益が理論上上がります。企業局として、経営方針にある収益力の向上に向けて一般競争入札を実施するものと察しますが、その狙いと、どのような手法をお考えかお伺いしたいと思います。

〇中島啓介企業管理者

地産地消型PPA(群馬モデル)の進捗及び一般競争入札に関しての御質問に答弁させていただきます。

まず、先ほど県議から御指摘ありましたとおり、地産地消型PPAに関しましては、5月に供給を希望する県内事業者をプロポーザルで募集いたしましたところ、1億 kWh の募集枠に対して約2.8倍の申込みがあっと、こういう状況でございます。

さらには、10月に小売電気事業者を選定しております。我々企業局は、この小売に関しては契約当事者ではないということでございますので、具体的な金額は我々からは申し上げられませんが、我々の分析によりますと、産業用として一般的に調達するよりも安い電力単価に仕上がったと、こういうふうに分析しております。

したがいまして、地産地消型PPA(群馬モデル)に関しましては、まず需要の高さ、こちらを確認いたしました。もう一つは、さらには環境価値を含んで、電力単価を安く提供できる、こういう見込みが立ったと。したがいまして、この地産地消型PPA(群馬モデル)が成功モデルとなり得る、この要素がそろったと考えております。引き続き、電力供給先事業者と小売電気事業者との間の電力供給契約の締結に向けましてフォローしていくということになっております。

また、次年度以降につきましては、電力供給先事業者のカーボンオフセットへの取組をコミットしていただく、こういうような方策により、県政に、より貢献できるような事業モデルとしたいというふうに考えております。

続きまして、一般競争入札の狙いと手法についてお答えいたします。まず一般競争入札につきましては、本日、11月29日の午後に公告を予定しております。その内容についてお話しいたします。

先ほど御指摘ありましたとおり、対象としては、FIT対象及び先ほどの地産地消PPAの対象を除いた約4.5億 kWh の売電先となる小売電気事業者を選定していくというものでございす。この一般競争入札を通じまして、市場原理に基づいた適正な価格で売電する、この辺が狙いでございます。

具体的な手法についてお答えいたします。まず電力販売量の4.5億 kWh、これを約3億 kWhと約1.5億 kWh の2つに分けます。まず最初に3億 kWh の入札を先行して、落札者を決定いたします。その後、残りの1.5億kWh の入札を行うと、こういうふうに考えております。なお、先に決定する3億 kWh の落札者は次の1.5億 kWh の入札から除外される、こういう規定を考えております。

この入札方法の狙いは主に2つございます。まず、販売電力量に差異を設けるということにより、小売電気事業者の事業規模、これは、小売電気事業者はかなり小さい規模のところから大きなところもあるんですが、その事業規模に応じた戦略的な参画を引き出すということを考えております。また、入札時期を2つの入札でずらすということによりまして、異なる事業者を選定するという、このプロセスによって、より高い競争が働くというふうに考えております。

企業局といたしましては、今後も収益力の向上を図るとともに、地産地消型PPA(群馬モデル)の取組を通して、CO2排出量ゼロの電力の県内での活用を推進することにより、県政発展に貢献していきたいと考えております。

〇大和 勲議員

ありがとうございました。残りの4.5億 kWh について、今詳しい御説明がありました。先ほど質問でもお話ししましたけれども、これ、1円上がれば4億5,000万の利益が上がるという形になりますので、ここは本当に企業局の腕の見せどころだと思っていますし、何といっても民間から来られた中島管理者の腕が試されるところだと思っています。

実績は、3期連続の増収ということで、大変力があることは承知しておりますけれども、またこういった部分で、規模ですとか、より高い競争力を考えた2段階の入札ということで、大変工夫があるなというふうに改めて思ったところでありますので、ぜひ入札結果がすばらしいものになることを御祈念して、この質問を終わりにしたいと思います。管理者、ありがとうございました。

次に、農政部長、お願いします。

〇安孫子 哲議長

農政部長、答弁席へ。

(砂盃 徹農政部長 登壇)

〇大和 勲議員

次に3項目め、肉牛振興についてお伺いしたいと思います。
本日は、パネルが示しているとおり、〔資料③提示〕11月29日ですから「いい肉の日」ということでございまして、しっかりと群馬県のすばらしいお肉をPRしたいということで、今回、一般質問に取り上げたところであります。群馬県の農業産出額に占める畜産割合は48%で、本県は全国有数の畜産県であり、食肉の生産が盛んであります。このような中、牛肉では、本県の和牛に関してうれしいニュースが届きまし
た。それは、畜産試験場で生まれた雄牛が、今年の8月に、家畜改良事業団に3期連続4頭目の種雄牛、いわゆる種牛として選抜されたとのことでした。この種雄牛に選ばれることは非常にまれであり、優秀な牛でないと選ばれず、快挙だと聞いておりますが、そこで、(1)なぜこのような成果を得られるようになったか、その取組についてお伺いしたいと思います。

〇砂盃 徹農政部長

大和議員には、いつも群馬の肉、牛肉を応援していただきまして、誠にありがとうございます。

畜産試験場の取組でございますけれども、平成24年から、全国に先駆けて、ゲノミック評価を活用した和牛の改良に取り組んでおります。ゲノミック評価と申しますのは、牛から採取した遺伝子を分析し、その牛が持つ肉を生産する能力、例えば肉の重量や霜降り具合などの品質を評価する技術です。

従来は、能力を知りたい牛を育てて、さらにその子どもをつくって、その子どもをさらに30か月程度育てた上で肉を分析して評価するという手法を取っておりました。そのため、最低5年程度、この評価に時間がかかっておりました。しかしながら、ゲノミック評価を活用することにより、生後間もない子牛の段階で能力を評価できるようになりました。このため、改良に用いるべき牛の選択が短期間で正確にできるようになったことから、和牛改良のスピードが格段に早くなりました。

その結果、畜産試験場の和牛の能力が飛躍的に向上し、全国に精液を販売している一般社団法人家畜改良事業団に、種雄牛、雄の種牛の候補として、平成30年度から19頭が買い取られております。それまでは候補牛だったんですけれども、そのうち、令和4年以降、1年半で連続して4頭が本当の種雄牛に選ばれております。

種雄牛というものは、次世代の子牛を生産するための精液を提供する繁殖の雄牛でございまして、優れた遺伝子を持っています。家畜改良事業団の種雄牛に選ばれるのは、同世代の雄牛の中で10万頭に1頭程度と、ごく限られておりまして、現在、家畜改良事業団が精液を販売している主な種雄牛54頭のうち4頭が群馬県の畜産試験場で生まれた牛となっております。種雄牛に選抜されることは群馬県にとっては非常に喜ばしいことで、これまで積み上げてきた和牛改良の成果が実ったものと考えております。特に8月に種雄牛に選ばれた「福勝鶴」は、肉の総量、ステーキやすき焼きに用いられるロースの量、またその肉に入る霜降りの量などがいずれも多く生産できるということがゲノミック評価により判明しております。

また、県内の家畜市場では、畜産試験場が作出しました種雄牛だけではなくて、その種雄牛の母牛の卵子を活用した牛が、各生産者におります牛が高く評価されるというような状況が生まれております。こういったことから、生産者の間では、この取組による県産和牛の価値の向上を期待する声がますます高まってきております。

今後も、この生産者の期待に応えられるよう、ゲノミック評価を活用して、県産牛肉の品質を一層高め、県内肉牛農家の所得向上につなげていきたいと、そのように考えております。

〇大和 勲議員

部長、ありがとうございました。

ゲノミック評価のなせる技だということでありました。それと、今お話がありましたけれど、10万頭に1頭ぐらいしか、選ばれないということで、大変これは本当に価値のあることなんだな
というふうに思っていますので、ぜひまた磨きをかけて、群馬県の肉牛はおいしいんだというアピールもしていただければありがたいと思っております。

次に、(2)に移りたいと思います。県内牛肉の輸出促進についてお伺いします。
このように品質が向上している県産牛肉ですが、生産農家の所得向上には、出口戦略、販売先も重要であります。そこで、出口戦略の1つとして海外販路も有望と考えますが、県産牛肉の輸出の取組についてお伺いしたいと思います。

〇砂盃 徹農政部長

県産牛肉の輸出でございますけれども、1985年以降、米国の牛肉、オレンジの輸入自由化圧力が高まりまして、その対抗措置として、米国へ国産の牛肉の輸出を検討したところから始まっております。

群馬県の食肉卸売市場が対米輸出施設に認定された平成2年、1990年が県産牛肉の輸出元年でありまして、最初の米国への輸出は523㎏でありました。その後、平成11年、1999年には5tにまで実績を伸ばしましたが、平成13年のBSEの発生、平成20年のリーマンショック、そして平成22年の口蹄疫の発生、さらには平成23年の東日本大震災など紆余曲折を経まして、震災の翌年、平成24年が県産牛肉の輸出再スタートの年となりました。

輸出が大きく伸長するきっかけとなりましたのは、平成27年のイタリア・ミラノ国際博覧会への出展でありまして、EU各国において、県産牛肉のカッティングセミナーなどによるプロモーションを今日まで継続して展開してまいりました。その結果、令和4年の輸出の実績は、EU、北米地域を中心に、輸出量113t、輸出額は7億9,000万円となりまして、群馬県の農畜産物等の輸出額の14億8,000万円のうち約5割がこの牛肉ということになっております。

牛肉の輸出には、動物検疫、輸出相手国の規制に対応した施設での屠殺、解体など、様々な障壁が存在します。しかしながら、こういったものにも対応しつつ、引き続き県産牛肉を重要な輸出品目の1つと位置づけて、その魅力を海外に広めることで、更なる輸出拡大に努めていきたいと考えております。

〇大和 勲議員

部長、ありがとうございました。今御案内のとおり、円安ということで、群馬の逸品、自慢の商品、農畜産物をしっかりと輸出していく、これは大変重要な取組だと思いますので、ぜひよろしくお願いしまして、部長の質問は終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
続きまして、教育長、お願いします。

〇安孫子 哲議長

教育長。なお、教育長におかれましては、足のけがのため、今定例会中は自席にて着座の上、答弁を行
うことを許可いたしましたので、承知おき願います。

〇大和 勲議員

次に4項目め、コミュニティ・スクールのモデル校設置についてお伺いしたいと思います。
私は本年2月の代表質問において、自民党ブロック政調会長会議で知り合った赤池誠章参議院議員のアドバイスをいただいて、このコミュニティ・スクールの導入率向上についてお伺いをしました。その後、パネルが示すとおり、〔資料④提示〕このパネルがありますけれども、群馬県が59.5%と、前年と比べて約34%伸びているということであります。しかしながら、平均は74%ということで、まだ全国平均よりは導入率が低いですけれども、全国の伸び率が約31%ですから、群馬のほうが、その伸びに比べて頑張ったというような数値がこの表で見受けられます。

コミュニティ・スクールとは、学校運営協議会を設置した学校で、この協議会とは、保護者や地域の方々が学校運営の基本方針を承認し、教育活動に意見を述べ、学校の様々な課題解決に参画する合議体です。

答弁では、現状、導入実績のない本県県立高校については、導入に向けたワーキンググループを設置し、検討を進めているとのことでした。また、本年10月の少子化対策・Well-being に関する特別委員会において、我が党の森議員が行った検討状況の質疑においては、モデル校を来年度から設置したいとの答弁がありました。

そこで、このモデル校の検討状況をお伺いしたいと思います。県立学校は、高校と特別支援学校があります。また、高校は普通科高校と専門学科高校がありますので、これらの特徴も踏まえて答弁をお願いしたいと思います。

〇平田郁美教育長

お答えいたします前に、一言申し上げます。足首の骨折により歩行が困難であり、本議会における答弁を着座にてお許しいただきましたことを心より御礼を申し上げます。

それではお答えいたします。

県立学校へのコミュニティ・スクールの導入は、現在、検討を進めているところであり、先ほど議員からお話しいただきましたように、来年度にモデル校を指定したいと考えています。モデル校の選定に当たっては、地域のバランスや、普通科、専門学科等の学科種別等にも配慮しながら、高等学校及び特別支援学校のそれぞれで複数校指定できればと考えています。その際、どのような方に学校運営協議会の委員になっていただくかなど、モデル校とも相談しながら、学校の教育内容や学科の特徴等に配慮し、検討していきたいと考えています。

コミュニティ・スクールの導入は、地域と一体となって学校をつくっていくことによって、例えば普通科高校における高大連携事業の推進、専門学科高校における企業と連携した学びの充実、特別支援学校における就業先となる企業との連携、地域との学びの場の充実など、学校の特色化、魅力化にもつながると考えます。

今後は、モデル校での成果や課題を明らかにした上で、制度の在り方や効果的な運営方法等について検証するとともに、学校や地域の実情、教員の多忙化などに配慮しながら、段階的に拡大し、地域とともにある学校づくりを推進してまいりたいと考えます。

〇大和 勲議員

教育長、足が悪い中、大変ありがとうございます。
今御答弁ありましたけれど、私も思ったとおりに、特に高校は、普通科、工業科、商業科、農業科というふうにありますので、この辺の特色を生かしたコミュニティ・スクールが大変いいのかなと思っています。
例えば工業科は、地域の工場、もしくは大きな、例えば太田だったら太田工業にSUBARUさんの関係者、こういう考え方もあります。商業科につきましては、金融機関さん等々、地域にもありますので、そういった方に入っていただくというのは大変いいんじゃないかなと思っていますし、また、今、特別支援学校も話がありましたけれども、私も御提案しようと思いましたけれども、特別支援学校の生徒さんを採っていただいている企業さんなんかに入ってもらうと非常にいいなと。教育長から今そういう話がありましたので、ぜひそういった視点で、コミュニティ・スクールのモデル校を設置いただければありがたいと思っております。

次に、5項目めにそのまま移りたいというふうに思っております。部活動の地域移行に伴う県内大学との連携についてお伺いをしたいと思います。

スポーツの多様化、少子化、指導の効率化、教員の働き方改革など、今まで学校で行っていた部活動を地域スポーツクラブやスポーツ協会などの拠点に、令和5年度以降、段階的に移行する方針が示されました。それを受けまして、本県も推進計画が策定され、また私も2月の代表質問では、このコミュニティ・スクールとの親和性がいいんじゃないかというような提言もさせていただきましたが、今回は、地域資源としての県内大学との連携についてお伺いをしたいと思います。

本日傍聴に来ております地元の名和地区には、山王町には東京福祉大学、戸谷塚町には上武大学があります。東京福祉大は生徒さん等々と触れ合う機会の多い学校というふうに聞いております。上武大学は、硬式野球部が全国優勝したり、駅伝も箱根に出場していると。非常に競技力もあるし、多彩な部活を持っているところであります。

そこで、10月の少子化対策・Well-being に関する特別委員会で、部活動の地域移行として大学との連携について伺ったところ、ぜひ検討したいという答弁がありましたので、その進捗状況についてお伺いしたいと思います。

〇平田郁美教育長

お答えいたします。

部活動の地域移行に当たり、大学は地域クラブ活動の拠点として期待される団体の1つであり、指導者の育成や確保という面からも、大学との連携は非常に大切なことであるというふうに考えています。

現状では、総合型地域スポーツクラブや中学校体育連盟の大会等で、大学生が、個人的にですけれども、地域スポーツの指導者や運営等で活躍をしたり、また市町村や学校単位によっては、学校部活動の充実のために大学が外部指導者の派遣に協力したりしている事例なども見られます。

また、本年7月から10月にかけて、県の総括コーディネーターと担当者が県内全ての市町村を訪問し、地域部活動移行に関して情報交換を行う中で、今年度は、地域にある大学と複数の中学校が連携をして、休日の活動の指導を担っていくような体制整備を進めたいと考えているというということが分かりました。

群馬県教育委員会としては、引き続き、地域創生部や市町村、関係団体等と連携・協働して、大学等との連携も含め、地域の実情に応じた地域移行、地域連携に向けて取り組んでまいりたいと考えます。

〇大和 勲議員

ありがとうございます。中学校の部活ですから、35市町村の教育委員会さんの考え方があるかと思いますけれども、ぜひ、県内にもすばらしい大学がありますので、先行事例等々をつくっていただいて、共有をしていただいて、地域移行の資源として大学があるんだというところを横展開していただければありがたいというふうに思っております。

以上を申し上げまして、教育長の質問は終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

続きまして、生活こども部長、お願いします。

〇安孫子 哲議長

生活こども部長、答弁席へ。

(上原美奈子生活こども部長 登壇)

〇大和 勲議員

次に、6項目め、保育人材確保についてお伺いしたいと思います。
私は県議会議員になって以来、この保育人材確保については機会があるたびに取り上げてきたテーマであります。保育士試験を年1回から2回に変更していただいたり、潜在保育士のアンケートを実施していただいたり、有資格者の掘り起こしの取組を進め、本年度からは、県保育協議会などの保育団体の要望や、我々自民党県議団の強い後押しもありまして、保育士就職支援センターも開設していただきました。しかし、このような施策を行っているわけでありますが、現場の園からは保育人材不足の声が聞こえてきます。

そこで、(1)本県の保育士不足の状況はどうか、また、保育人材確保のため県はどのような取組を行っているのか、改めてお伺いしたいと思います。

〇上原美奈子生活こども部長

お答えいたします。

まず保育士不足の状況でございます。群馬県では、保育現場の実態を把握し、保育人材確保対策につなげるために、認可保育所、認定こども園、幼稚園を対象にいたしまして、平成28年度から、4月1日時点の保育士、保育教諭等の人材不足状況を県独自で実施しております。今年度、584施設を対象に調査したところ、その約97%に当たる565施設から回答がありまして、不足数は397人でした。

この不足数は、配置基準を満たした上で、各施設の採用計画から実際に採用できた人数を差し引いたものでありまして、令和3年度は301人、令和4年度は337人と増加傾向にございます。

次に、群馬県での保育人材確保の取組でございます。新卒者の確保策としては、修学資金貸付、保育団体と連携した就職説明会の開催、そして中学・高校生を対象に保育の仕事の魅力を知ってもらおうというバスツアーを実施しております。

また、資格を持ちながらも現在は保育施設で働いていない潜在保育士、この復職支援を目的とした再就職準備資金の貸付、それからブランク期間の不安解消のためのセミナー、こういったものを実施しております。

また、今年5月、ぐんま保育士就職支援センターを設置したところでありますが、ここに求人・求職情報の収集、また保育士と保育施設の各種相談に対応できる保育分野のエキスパートである相談支援員を配置しました。これにより、人材確保から就業の継続、再就職まで一貫した支援を行っております。

センターのこれまでの実績を申し上げますと、10月末現在で、求人相談が368件、求職相談が236件ありまして、採用につながったものは17名でございました。保育士側からは、「復職への不安や疑問を一つ一つ解消してくれた」、また施設側からは、「今まで手探りの求人活動だったけれども、センターの仲介でスムーズに採用につながった」と、双方、きめ細やかな対応におおむね満足の回答をいただいております。

また、復職のための情報提供の場として、保育士カフェ、あるいは就職ガイダンス、地区別就職相談会なども開催しております。

今後も、このぐんま保育士就職支援センターを核として、保育人材の確保を着実に進めてまいりたい、こう考えております。

〇大和 勲議員

部長、ありがとうございました。最新の、基準は満たしているけれども保育士がちょっと足りないなと思っているところが397人ということで、400人近い人数がいらっしゃるということでございます。

いろいろな施策も打っていただいておりますので、大変ありがたいと思っておりますけれども、ぜひ、就職支援センターもできましたので、しっかりとそちらのアピールをしていただいて、その活用もお願いをしたいというふうに思っております。それに伴いまして、この保育士不足を解消するために、(2)に移りますけれども、地域限定保育士制度というのが今全国に先駆けて展開をされているわけであります。どのような制度かといいますと、こちらにも書いてありますけれども、〔資料⑤提示〕通常の保育士は勤務先が全国各地、地域限定の人は、3年間は試験を受けた都道府県で勤務をし、4年目以降は全国各地で勤務できると。試験内容は筆記試験と実技。実技というのは、ピアノ伴奏などの音楽、絵を描く造形、読み聞かせの言語という3分野であります。

そして、この地域限定保育士の特徴としましては、この実技試験を実技講習に変えようではないかということでありまして、3分野の演習や保育現場見学などを5日間程度実施して、これは合否がないということであります。

そして、このメリットの2つ目、特徴の2つ目は、受験者の心理であります。これは一発勝負でありますので、大変心理的な負担が多い。私もこの保育士資格、試験で受けましたけれども、この実技が一番緊張する科目であったということであります。そういった意味では、心理的負担のない、この地域限定保育士、大変これは有用ではないかと、私はそう思っているところであります。

国も来年度以降、この制度を全国展開をしていこうじゃないかという考えがあるようでございますけれども、群馬県はどのようにお考えになっているか、御答弁をお願いしたいと思います。

〇上原美奈子生活こども部長
お答えいたします。保育士資格に関する御質問ということでお答えしたいと思います。

まず、保育士資格を得るには、都道府県知事が指定する指定保育士養成施設で所定の課程を履修し卒業する方法、もう1つは、筆記と実技から成る保育士試験に合格する方法がございます。議員お尋ねの地域限定保育士、これについては、待機児童が深刻な区域での保育需要に対応することを目的として、平成27年度に国家戦略特区に限定して創設された制度です。

当時は、通常の保育士試験が年1回の実施であったために、年2回実施を都道府県に促すためのものでございました。平成29年度からは、この通常の保育士試験が全国的に年2回の実施となりましたが、さらに、保育士不足が深刻な地域において、当該制度は各都道府県の独自試験として導入されております。現在は神奈川県、大阪府などがこれを実施しているところであります。

今年8月、国では保育士資格等に関する専門委員会を設置いたしまして、教育・保育の質の向上を図りつつ人材を確保するために、地域限定保育士制度の全国展開などについて検討を始めたところです。都道府県が当該試験を実施する場合の要件でありますとか、試験の質や公平性の確保、これについて議論を重ねていると伺っております。

群馬県においては、国での議論や、先行導入している自治体の保育人材の確保状況や効果、それから保育への影響、こういったものも踏まえまして研究を行ってまいりたいと考えております。

〇大和 勲議員

ありがとうございます。いろいろと昨日も、日経新聞でしょうか、〔手持ち資料提示〕「通常試験で不足」条件になんていうのが書いてありましたので、今動いている状況だというふうに思っています。

私が思うに、この群馬県というのは最低賃金が、例えば埼玉県、栃木県、茨城県と比較しまして、申し訳ないですけれど、ちょっと低いという状況であります。伊勢崎だったら本庄に行く、太田だったら熊谷に行く、こういった方がいますので、しっかりとこれ、先に導入することがメリットがあるというふうに思っていますので、今、部長、お話があったとおりで、いろいろなハードルや決まりがありますので、ぜひ研究していただきまして、この制度、メリットがあれば導入していただきますことをお願いして、部長の質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございます。

警察本部長、お願いします。

〇安孫子 哲議長 警察本部長、答弁席へ。

(重永達矢警察本部長 登壇)

〇大和 勲議員

次に7項目め、横断歩道等の道路標示の新たな整備方法についてお伺いしたいと思います。

我々県会議員が地元の区長さんや住民の皆さんから要望を多くいただくのが、道路標示、つまり横断歩道や止まれなどの塗り直しや新設であります。県警察におきましても、平成29年から塗り直しなどの発注回数を年2回から4回に増やして対応していると承知をしております。しかし一方で、我々議員の感覚では、要望から工事完了までの期間が長い、依然として横断歩道など摩耗している箇所が多いという認識であります。

そこで、8月に行われた9月補正予算編成に伴う自民党の政調会において、道路標示に係る予算増額と実施のスピードアップを切に要望したところであります。予算面では5,000万円の積み増しが実現され、これまで以上に多くの要望に対応できるものと期待しているところであります。

さらに、県警察においては、横断歩道の塗り直し要望に早期に対応するため、従来の契約方法などを見直し、11月から新たな契約方法、発注方法を試験的に導入していると伺っております。そこで警察本部長には、この新たな契約方法等の具体的な内容についてお伺いしたいと思います。

〇重永達矢警察本部長

お答えいたします。

標示工事の新たな契約方法についてのお尋ねでございますけれども、まず現行の工事について御説明申し上げます。

県警察では、従来、地域住民から塗り直しの要望をいただくなどした後、現地調査を行いまして、必要性が確認できましたら、そこから予定価格を設定して入札、契約を行ってきたところでございます。この場合ですと、業者の工事が完了するまでには、御要望をいただいてから3か月、あるいはそれ以上の期間を要していたという現状がございます。

お尋ねの新たな契約方法でございますけれども、これは今年の11月から県警において試験的に導入しているものでございますけれども、これは、あらかじめ入札によって業者と単価を決定しておくということで、御要望をいただいてから工事が完了するまでの期間を短縮しようというものでございます。

具体的には、この契約方法の場合ですと、御要望をいただいてから早くて2週間後、遅くとも1か月後には工事を完成させることができるというふうに見込んでおりますところ、実際、11月中の試験運用の施工実績を見ますと、いずれも1か月以内、早いものですと14日で工事が完成しているという状況にございます。現在の試験的導入におきましては、対象は前橋市内と高崎市内の工事に限定しておりますけれども、来年度からは県内全域を対象に運用するべく準備を進めているところでございます。

県警察では引き続き、道路標示の塗り替え要望への迅速な対応をはじめとしまして、交通安全施設整備に関する県民の方々の御要望に応えてまいる所存でございます。県議会の皆さんには、引き続き、この分野についても御支援、御協力を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

〇大和 勲議員

本部長、御答弁ありがとうございました。あらかじめ業者と単価契約を締結して、スピードを速めていただくよう工夫していただいたということでございます。まずもって御努力に感謝申し上げる次第であります。

我々も本当にいろいろな方からこの御要望をいただいていますので、そういった部分がしっかりとやっていただくことが、県民の安心・安全を守る部分につながってくると思っております。

また、過日、12市長のほうから、やはりこの横断歩道の塗り直しの御要望が県にあったというふうに、私も自民党政調会長として伺っておりますけれども、そういった意識も首長さんはお持ちですので、しっかりとこの新たな体制で、また来年度からは全県下でできるような体制づくりをしていただきますことをお願いして、本部長の質問は終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

続きまして、県土整備部長、お願いします。

〇安孫子 哲議長

県土整備部長、答弁席へ。

(眞庭宣幸県土整備部長 登壇)

〇大和 勲議員

次に8項目め、県営住宅団地の共益費の管理についてお伺いをしたいと思います。

この件につきましては、令和3年11月の一般質問でも取り上げました。共益費については、団地により様々ですが、おおむね給水ポンプやエレベーターの動力電気料、階段灯や街灯の電気料、それら交換に関わる消耗品などを計算して、管理人さんが毎月徴収しているようであります。

地元伊勢崎市にある羽黒団地では、外国籍の方々が多く住んでいる住宅です。また高齢者の方々も多く住んでおります。今後、このようなケースが県内各地で増えていくことが推測されます。そんな中で、先ほど申し上げたとおり、管理人さんの業務の負担は大変大きなものがありまして、受け手が現れない可能性が出てきました。実際、本年6月の産経土木常任委員会では、我が党の橋爪議員も同様な指摘の質疑をしており、答弁では、県営住宅の管理を委託している群馬県住宅供給公社と調整しながら検討を進めているとなっております。

そこで、改めて県営住宅の共益費の管理について、検討状況をお伺いしたいと思います。

〇眞庭宣幸県土整備部長

お答えいたします。

県営住宅の共益費とは、共益部分の電灯の電力料、給水ポンプやエレベーターなど共用設備の動力電力料、浄化槽の維持管理費などの費用でございまして、群馬県県営住宅管理条例におきまして、その費用は受益者であります入居者が負担することと定めております。

現在、県営住宅の電気代、水道代などの共益費の集金や支払いにつきましては、入居者から選ばれた管理人に行っていただいているという状況でございます。多くの管理人の方から、負担の軽減をしてほしいという強い要望を、先ほど議員おっしゃられますとおり、上がっていることも承知してございます。

現在、群馬県住宅供給公社が、共益費を管理する仕組みにつきまして検討をしているところでございます。本年1月に、先ほど出ました伊勢崎市内の羽黒県営住宅、こちらにおきまして、群馬県住宅供給公社が管理人に代わりまして共益費を集金して、公益事業者へ支払いまで行う共益費の管理のモデル事業、こちらを実施すべく、住民の方々への説明会、これを開催いたしました。制度の周知不足などもちょっとございまして、住民の方から合意を取ることができなかったという状況に今なってございます。

しかしながら、県営住宅につきましては、今後も入居者、入居世帯の高齢化などが進むものと考えてございまして、共益費の管理が大きな負担となりまして管理人の引受け手がいなくなるということが予想されておりますことから、適正な団地の運営ができなくなる、これが懸念されているということでございます。このため、共益費の管理を自ら行っております7都府県の先行事例などを参考にしながら、群馬県住宅供給公社によりますモデル事業を早期に実施し、入居者の意見なども踏まえながら、持続可能な団地運営につながる共益費管理制度、こちらにつきまして引き続き検討してまいりたいと考えてございます。

〇大和 勲議員

ありがとうございます。歯切れがもう一つよければよかったんですが、いろいろと今段取り中というふうにも聞いております。

羽黒のほうは、モデル事業をまず県内で一番最初にやっていただいたということで、このことについては大変ありがたいんですけれども、今、部長から答弁ありましたけれど、ちょっとアンケートの取り方がどうだったのかなというのが、委員会でも話しましたので、ここでは申し上げませんけれども、ぜひ今困っている管理人さんがいて、またそういう方が大変県内にも多いということを承知していただいて、これから持続可能な県営住宅の共益費の回収をしていただければありがたいと思っております。

それと、今、7都府県の先行事例を研究してということでありますけれども、これは、群馬県の住宅管理条例を変更する可能性が、必要があるというふうに思っておりますので、ぜひそういった意味も含めまして、しっかりとこれに対応していただきますことを切に要望して、この質問は終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

次に、最後に産業経済部長、お願いします。

〇安孫子 哲議長

産業経済部長、答弁席へ。

(相川章代産業経済部長 登壇)

〇大和 勲議員

9項目め、持続的な賃上げを行うための価格転嫁についてお伺いしたいと思います。

物価高騰が続く中、いかに可処分所得を上げていくかが問われております。そのために、現在、社会的に取り上げられているのが持続的な賃上げであり、企業等が賃上げを行うためには、原材料価格、エネルギーコスト、労務費などを価格転嫁をさせなければなりません。

6月の一般質問においては、我が党の牛木議員が、サプライチェーン全体での付加価値向上や、取引先との共存共栄を図るためのパートナーシップ構築宣言について取り上げました。また、その後の産経土木常任委員会では、公明党の水野議員や私から、産官労による協定締結の実施、価格交渉ツールの導入などをただし、締結がなされ、また導入がされたことであります。

ついては、(1)、改めて、持続的な賃上げを行うための価格転嫁について県はどのように取り組んできたのかお伺いしたいと思います。また、県産業支援機構内に価格転嫁サポート窓口を設置しておりますので、この稼働状況についても併せて答弁をお願いしたいと思います。

〇相川章代産業経済部長

いつも御助言ありがとうございます。

議員お尋ねの価格転嫁促進の取組でございます。今年8月に、県内の経済団体や労働団体、そして国の機関等に御賛同いただきまして、県を含む11団体でパートナーシップ構築宣言の推進と価格転嫁を促す群馬共同宣言を行ったところでございます。群馬の共同宣言は、価格転嫁の実効性を高めるために、宣言企業に対しまして、宣言をしているということを社内外に周知すること、また価格交渉への積極的な対応というのを求める内容となっておりまして、他県に比べて踏み込んだ内容となっております。

また、より多くの企業にパートナーシップ構築宣言を知ってもらうため、県の制度融資におきまして、宣言企業がより低利な条件で融資を利用できるよう、制度を今年9月に改正、拡充いたしました。さらに、市町村や関係団体を通じた企業への周知、また広報紙やメルマガなど、県の広報媒体を利用したPR、こういったことにも努めております。さらに、宣言企業であることを社内外に明示をするためのポスターを、経済団体からの要望に応える形で作成、配布をさせてい
ただきました。

価格交渉は、仕事を受注する企業が発注元に行うケースというのが多いというふうに思います。そのため、交渉に当たりましては、発注元企業が納得できるデータというのを提示することが効果的となると思います。このため、原材料価格の推移など、データを根拠資料として簡単にまとめられるツール、議員にも御助言いただきましたけれども、こちらを県のホームページのほうで提供しております。

さらに、価格交渉の方法などで悩んでいる企業もあると思います。こういった企業には、産業支援機構や商工会議所等の相談窓口におきまして、きめ細やかに相談対応をしております。

一方、価格交渉に応じることになる発注元の企業につきましては、企業間取引に関するコーディネーターという方がいるんですけれども、そういった方が直接訪問しまして、価格転嫁を通じた下請取引の適正化、またサプライチェーン全体で共栄共存関係を築くことの重要性、こういったことについて説明をいたしまして、価格交渉しやすくなるよう環境整備に努めているところでございます。

もう1点のお尋ねの価格転嫁サポート窓口についてでございますが、下請企業の価格交渉、価格転嫁を後押しするため、今年7月に、国が各都道府県のよろず支援拠点に設置をしたものでございます。群馬県の稼働状況でございますが、昨日までの相談実績は73件となっております。相談内容に応じまして、価格交渉がうまくいった事例の紹介などを踏まえ、価格交渉の際に必要となるデータの把握、原価管理の手法など、具体的なアドバイスを行わせていただいております。

〇安孫子 哲議長

大和議員、残り1分半です。

〇大和 勲議員

部長、答弁詳しくありがとうございました。いろいろな取組、我々の要望も酌み取っていただいて、また企業さんの要望も酌み取っていただいて、やっていただいているということであります。

窓口の件数が73件ということで、ちょっと少ないかなというふうに思いますので、この辺も広く周知していただければと思います。

あと1分ありますので、最後に、この持続的な賃上げができる価格転嫁、これは一番大切な重要課題だと思いますけれども、今後の取組について部長にお伺いしたいと思います。

〇相川章代産業経済部長

お答えいたします。

持続的な賃上げを行うためには、先ほどお答えしましたとおり、やはりパートナーシップ構築宣言企業の拡大、そして価格転嫁しやすい環境の整備というのが何よりもまず一番重要になってくると思います。こちらは、宣言を一緒にいたしました関係団体とも連携をしまして、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

加えまして、企業の稼ぐ力というのも価格転嫁を進めるためには重要だと考えております。そのため、事業の多角化などによりまして経営の強化を促していくとともに、国の競争的資金の獲得支援などによりまして、企業価値の向上や競争力強化につながるように努めてまいりたいと考えております。

〇安孫子 哲議長

大和議員、時間です。

〇大和 勲議員

以上で私の一般質問は終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)

〇安孫子 哲議長

以上で大和勲議員の質問は終わりました。

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