令和5年度 産経土木常任委員会(産業経済部関係)

6月5日(月)

◆大和勲 委員

ユニバーサルツーリズムに関しては、インバウンドだけでなく国内需要も大変重要であり、高齢化を迎える中で、旅行に行きたくても行けない方が増加することは統計上でも明らかであるため、しっかりと取り組んでほしい。(要望)

◆最低賃金ランクの見直しが今秋に予定されており、従来のABCDの4ランクから、ABCの3ランクに見直され、群馬県は従来のCランクからBランクに分類が変化するようである。ランクの見直しにより、労働者及び事業者にはどのような影響が考えられるのか。

◎金子 労働政策課長

今回の見直しは、最低賃金の引き上げ目安額を示す地域の区分を4から3に減らし、再編するものであり、地域間格差が小さくなる方向に働くと考えられる。本県はCからBのランクに引き上げとなり、労働者側の視点からは賃金水準の底上げが期待される。一方で事業者側では、人件費の増加に伴い、経営体質の強化が求められることから、生産性向上や人材育成など県内企業の体質強化を支援していきたい。

◆大和勲 委員

持続的な賃上げを実現するためには、価格転嫁の取組が必要であると考えている。本会議において、パートナーシップ構築宣言の登録企業数として、県内では315社であると答弁されたが、近県の栃木県、茨城県及び埼玉県における登録企業数はどうか。

◎田村 ものづくりイノベーション室長

令和5年5月末現在、栃木県は291社、茨城県は462社、埼玉県は1,240社となっている。本県における登録企業数である315社は全国的には21位で中位にあると認識している。

◆大和勲 委員

埼玉県では独自の取組が行われており、その一つが産官金労による協定の締結であり、埼玉県、国の出先機関、埼玉県内経済団体、日本労働組合総連合会埼玉県連合会、一般社団法人埼玉県銀行協会との間で価格転嫁の円滑化に関する協定が結ばれている。本県における協定の締結について検討状況はどうか。

◎田村 ものづくりイノベーション室長

価格交渉をしやすい環境を整備するため、現在、群馬県中小企業団体中央会や群馬県経営者協会の事務局と打合せを重ねている。関係団体と連携しながら更なる取組を進めたい。

◆大和勲 委員

本県においても価格転嫁に苦慮している経営者が多いと感じており、県が主導して価格転嫁に向けて動いていることをアピールすることが、経営者にとっては最も心強いことであると思うため、しっかりと取り組んでほしい。
埼玉県では価格転嫁に向けて、中小企業診断士を活用しているようだが本県の考えはどうか。

◎板野 地域企業支援課長

群馬県では中小企業診断士協会に委託はしていないが、価格転嫁に向けた相談は産業支援機構や下請取引に係るコーディネーターのほか、我々としても企業訪問の際に適正な価格転嫁ができるよう指導しているところである。また、群馬県中小企業診断士協会員の勉強会などの場に当課の職員が講師として出向き、適正取引に向けた助言等を依頼している。経営者の方々と意見交換する中で、適正な価格転嫁に向けては自社の強みを強化し、他社が取り組んでいない部分で取組を進めていくことが重要であると話をしており、我々だけではなく、今後は中小企業診断士とも連携して企業訪問を行う取組等も検討していきたい。

◆大和勲 委員

専門家の協力を得ながら、価格転嫁に向けて取り組んでほしい。
埼玉県が開発した価格交渉支援ツールの活用について本県で導入する考えはどうか。

◎田村 ものづくりイノベーション室長

埼玉県の価格交渉支援ツールは、非常に簡便に原材料価格の推移を示す資料が作成できるものであることから、他県においても埼玉県のリンクをホームページに貼って活用されている。群馬県でも早急に対応し、県内企業に積極的な利用を周知したい。

◆大和勲 委員

価格交渉を進める上で客観的にデータを示して、交渉することが必要であるため、是非とも積極的な周知をお願いしたい。
価格転嫁については、大変重要な課題だと思うがこの取組に対する部長の意気込みはどうか。

◎大久保 産業経済部長

安定的な賃上げには価格転嫁が絶対的に必要なものである。また、サプライチェーンの構築は、かつてのコスト重視から、継続性及び安全性を重視するように変化してきている。こうした流れも踏まえると、しっかりとした価格転嫁の仕組みがサプライチェーンの構築にもつながっていくことになると考えている。パートナーシップ構築宣言については、県と経済関係団体との間で様々な話をしており、4月下旬には、中小企業団体中央会が経産局の職員を招き、パートナーシップ構築宣言について勉強されている。また、委員からも指摘された埼玉県の取組については、群馬県でもいかに利活用していくかという点も検討しているところである。パートナーシップ構築宣言の実効性を高めるためには、各企業の現場まで浸透していることが重要であり、宣言したことをPRするため、例えばポスター等を掲げるなど、企業内外に示すことのできる取組を検討していきたいと考えている。

◆大和勲 委員

ポスター等により宣言したことをPRすることで、商談の中で話題になることも考えられる。そうした点からも効果的と考えられるため、是非とも検討をお願いしたい。また、農業でも価格転嫁が進んでいないと聞いている。産業経済部の所管ではないが、価格交渉支援ツール等は農業分野でも有効と考えられるため、他部局と連携して取り組んでほしい。

◆新聞報道でもあったように、企業の用地取得の状況は右肩下がりの傾向がある。こうした状況を打開するためには、県と市の共同で産業団地の在庫を増やすことも必要と考えている。企業誘致推進本部での産業団地候補地選定について、これまでの選定の状況を伺いたい。

◎岡庭 未来投資・デジタル産業課長

企業誘致推進本部では、市町村からの提案に基づき、新規産業団地造成候補地を選定しており、昨年度は新たに13か所165haの候補地を選定した。これまでも概ね5年おきに選定しており、平成28年度には14か所469ha、平成24年度には10か所178.9haを選定している。選定を計画的に行い、造成を進めたいと考えている。

◆大和勲 委員

次回の選定は5年後となるのか。

◎岡庭 未来投資・デジタル産業課長

都市計画の見直しに合わせて選定しているため、次回は令和9年度の選定を予定している。

◆大和勲 委員

国際状況も不透明であることから国内に工場を設置する動きも見られる。また、賃金の海外との差が小さくなっていることからも、本県を含め国内全体で工業団地を造成する機運が盛り上がってくると思われることから、是非とも在庫管理にしっかりと取り組んでほしい。
産業経済部と企業局との役割分担はどのようになっているのか伺いたい。

◎岡庭 未来投資・デジタル産業課長

産業経済部は企業誘致を所管し、企業局は団地の造成、分譲を所管している。それぞれが連携しながら、企業誘致推進本部を運営していくことが重要であると思っている。共同事務局として意思疎通を図りながら運営しており、連携しながら推進本部を運営している。

◆大和勲 委員

デジタルやクリエイティブ等の新しい分野の企業誘致も進めていくと思うが、ものづくり企業の誘致も重要であり、産業団地の造成にも継続して取り組んでほしい。

 

10月2日(月)

◆大和勲 委員

6月5日の常任委員会において、私から産官金労による協定の締結や埼玉県が開発した価格交渉支援ツールの活用について提案したところ、早速に取り組んでいただいたことに感謝したい。隣県の栃木県では9月21日に本県と同様の協定を締結したようであるが、本県が約2か月前に先んじて、取り組んだことについては、県内企業に対して、本県が価格転嫁に積極的に取り組んでいる姿勢をアピールすることができたと思っている。引き続き、価格転嫁の取組に御尽力いただきたい。パートナーシップ構築宣言について、共同宣言後の企業登録数はどうか。

◎田村 ものづくりイノベーション室長

8月4日の共同宣言時点の企業登録数は395社であり、その後9月29日時点では34社増加し429社となっている。

◆大和勲 委員

本県全体の企業数から考えると、登録数をより増やしていく必要があり、積極的に取り組んでほしい。前回の委員会の際に、大久保前産業経済部長から、パートナーシップ構築宣言を周知するため、ポスター等を作成したいとの答弁があったが、進捗状況はどうか。

◎田村 ものづくりイノベーション室長

ポスターについては、作成し参加団体や市町村、関係機関に配布した。また、ポスターのみならず、会報やメルマガへの掲載などによる会員企業等への周知を依頼している。さらに、県ホームページに「価格交渉支援ツール」を掲載して周知を図っている。宣言だけで終わらずに、企業数を増やしていけるよう周知に取り組んでいきたい。

◆大和勲 委員

物価の高騰に対応していくために、継続的な賃上げが求められており、そのためには、適正価格での販売により経常利益を確保していく必要がある。今が勝負どころであると認識しており、本県の中小企業を守っていくためにも、継続的な賃上げが実施できるよう、しっかりと価格転嫁できる体制づくりに取り組んでほしい。
群馬県母子寡婦福祉協議会は、コロナ禍を経て、運営状況が厳しいと伺っている。公共施設においては歳出削減のため、自動販売機の設置が困難な状況にあるようである。そのような中で、女性活躍という意味も含めた社会貢献を行う観点から、民間企業にも本事業に取り組んでいただくことが重要であると考えている。当該協議会の所管は生活こども部であるが、産業界との接点は少ないと思われることから、両部でしっかりと連携して、事業を進めてほしいがどうか。

◎金子 労働政策課長

母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法により、国及び地方公共団体は企業に対して、ひとり親の就業促進等を図るための協力要請に努めることとされており、その一環としての自動販売機設置事業であると受けとめている。私どもとしては、かねてより、女性活躍に取り組む企業を認証する「いきいきGカンパニー認証制度」を実施しているところである。ひとり親家庭の父母の就業促進やそれに準ずる母子・父子家庭に対する取組に協力することは、認証企業における活動の更なる拡大につながることであると受けとめている。認証企業に対してはこれまでも必要な情報提供を行っているが、本件についても、生活こども部と連携しながら、周知を図っていきたい。

◆大和勲 委員

自動販売機の設置について、いきいきGカンパニーの認証要件に加えることへの考えはどうか。

◎金子 労働政策課長

現状では自動販売機の設置を認証要件に加えることは検討していないが、社会情勢に応じて、制度を変更する必要性はあると考えており、制度の見直しを検討する際の検討材料としていきたい。

◆大和勲 委員

立場の弱い方に少しでも光を当てていくことが非常に重要であると思っている。様々な部分で対応していると思うが、本件についても検討いただき、1台でも多くの自動販売機が設置できるよう、力添えをお願いしたい。

 

12月6日(水)

◆大和勲 委員

持続的な賃上げに関しては、国において地方版政労使会議の開催を検討との報道があったが、本県としての考えはどうか。

◎相川 産業経済部長

これまでも労使の各団体とは個別にやりとりを行っており、良好な関係を築いていることから、現時点では一堂に会してということは想定していない。引き続き各団体から意見の聞き取りに努めたい。

◆大和勲 委員

会議をすることが目的ではなく、持続的な賃上げのための価格転嫁ができればよいと考えている。各団体の意見をしっかりと聞いてもらいたい。また、公正取引委員会も取組を強化するとの報道もあることから、国や商工会議所等としっかりと連携して対応してほしい。

◆観光については、インバウンドも重要であるが、高齢者や足腰のよくない方等を取り込む、ユニバーサルツーリズムの視点も必要だと考えているが、次期観光振興計画では盛り込まれているのか。

◎藤田 観光魅力創出課長

次期観光振興計画においては、基本戦略Ⅰとして持続可能な観光地づくりを掲げている。これは、観光資源を守ると同時に、観光産業を守るという二つの側面を持っている。日本の人口減少に比例して観光客も減少すると推計されており、減少した観光客をどのように補っていくのか考えていかなければ、観光地を持続していくことは非常に困難であると考えている。観光客を増加させるためにはインバウンドのほか、国内からの観光客を増加させる必要がある。国内需要を増やす取組として、これまで、旅行に行きたくても行けなかった方、例えば、障害のある方、高齢者、また、コロナ禍で増えたペットを飼っている方々に観光に来てもらう方法がある。観光振興計画でもユニバーサルツーリズムを推進するため、需要の掘り起こしや観光地の受入環境の整備等に対応していきたい。

◆大和勲 委員

ゼロゼロ融資の返済が進んでいる中での最近の企業倒産と負債額の状況について伺いたい。

◎板野 地域企業支援課長

県内の企業倒産は増加傾向にあり、2018年以来5年ぶりに100件を超えた。昨年の69件から倍増する見通しとなっており、負債総額も約190億円になると見込まれる。こうした中でゼロゼロ融資の返済が利用者の約8割で行われている。全国的には約6割との報道もあるが、本県では返済の負担を軽減するため、据え置き期間を比較的短くしたことから、比較的早く返済が始まっていると認識している。各金融機関や県信用保証協会等との意見交換の中では、倒産件数の増加に関しては、ゼロゼロ融資のほか、各種支援施策によって低位で推移してきたものが、コロナ禍以前の水準に戻ってきたものと捉えていると聞いている。この点については引き続き動向を注視していきたい。
県信用保証協会での代位弁済も倒産の状況に呼応する形で増加傾向にある。ゼロゼロ融資を含む県制度融資利用者の代位弁済については、令和5年11月末時点で413件、約46億円という状況になっている。昨年は258件、約26億円であり、倍増の見通しとなっている。県信用保証協会では、こうした状況を「概ね想定の範囲内」との見方をしているところであるが、引き続き、県保証協会と情報共有を図り、しっかりとした支援体制を組んでいきたい。

◆大和勲 委員

相談をすれば防ぐことができた倒産については防ぐ必要があると考えている。県内企業が資金繰りに窮することがないよう、相談窓口等の周知に努めてほしい。
昨年度に制定した事業の再生を支援する条例の利用状況はどうか。

◎板野 地域企業支援課長

現時点で条例が適用となった事案はない。ただし、ゼロゼロ融資の返済が本格化することを踏まえ、事業再生の状況について、県信用保証協会への聞き取りを行っている。その中では、幅広い業種での事業再生の事案が増加しており、条例の整備によって再生に向けた選択肢が非常に広がったとの報告も受けている。今後も企業倒産や事業再生の状況を注視し、条例が適用される事案が生じた場合には速やかに対応し、早期の再生につなげたい。

◆大和勲 委員

昨年度の補正予算により、Gメッセ群馬にグリーンバックを設置したが整備状況について伺いたい。また、設置されるだけでなく、活用されることが重要だが利用実績についてはどうか。

◎鈴木 クリエイティブ推進主監

Gメッセ群馬のグリーンバックについては、昨年度の9月補正予算に計上され、令和5年3月までに整備を実施した。グリーンバックとブルーバックの二つを整備し、整備費用は約1,590万円である。大きさについては、幅80m、高さ21mのものが1面、加えて、幅40m、高さ14mのものが2面である。これは屋内展示ホールの1/3のスペースの三面を囲むことができ、国内最大の大きさである。グリーンバックは常時設置ではなく、通常は畳んで倉庫で保管しており、利用する際に設置することとなる。
続いて利用実績であるが、令和5年3月に開催した「ぐんまDigital Land」や同年4月の「G7デジタル・技術大臣会合・デジタル技術展」において、リアルタイム合成技術を来場者に体験してもらった。また、撮影では、UVERworldのミュージックビデオの撮影が大規模に行われた。

◆大和勲 委員

グリーンバックとブルーバックの違いについて伺いたい。

◎鈴木 クリエイティブ推進主監

グリーンバックが一般的だが、緑色では透けてしまう色があることから、その際はブルーバックを使用する。機能としては同様である。

◆大和勲 委員

利用が進むようにしっかりと周知してほしいがどうか。

◎鈴木 クリエイティブ推進主監

Gメッセ群馬が映像の撮影場所として使用できることが知られていないことが最も大きな課題であると考えている。そのため、しっかりと周知することが重要だと思っており、これまでに都内の映像制作会社を集めたプロモーションとしてグリーンバックの勉強会と視察ツアーを実施した。また、群馬フィルムコミッションのホームページやXを活用した情報発信を行っている。さらに、知事のトップセールスに加え、職員が都内の制作会社を訪問し、営業活動を行っている。令和6年1月には、ジャパン・フィルムコミッションが開催する「全国ロケ地フェア」に本県も出展し、Gメッセ群馬のPRを行いたいと思っている。現在、Gメッセ群馬での撮影の問い合わせは複数件来ており、1件でも多く撮影につながるよう、引き続き、しっかりと取り組んでいきたい。

◆大和勲 委員

投資をしていることもあり、また、知事が掲げているデジタル・クリエイティブ人材の育成を目指していく上でもしっかりと取り組んでほしい。

3月1日(令和5年度関係)

◆大和勲 委員
質問に入る前に、伊勢崎括り絣を「群馬県ふるさと伝統工芸品」として指定していただき、また、齋藤定夫先生を「群馬県ふるさと伝統工芸士」として認定していただいたことに感謝申し上げたい。御本人も教え子さんも大変喜んでおられた。群馬県の伝統品や技術を持っている方を我々としてもしっかりと支援していきたい。
今年度は持続的な賃上げの実現のために価格転嫁の問題に対して、私自身も主体的に取り組んでおり、一般質問や委員会の場でも取り上げているところである。先般の一般質問で群馬県では他の都道府県と比べて賃上げが進んでいることに知事も喜んでおられたが、我々としても当委員会で各委員が賃上げできるような体制づくりのために取り組んだ成果と捉え、大変喜んでいるところである。新聞報道については、日本経済新聞社が国の統計を用いて、群馬県の実質賃金が全国1位であることを報じたものであるが、この統計とはどのようなものなのか。また、一般質問で知事が「小規模事業者にも賃上げの動きが広がっていることが分かった」と答弁されていたが、これはどのような尺度から分かるものなのか。

◎金子 労働政策課長
報道で用いられた統計については、厚生労働省が毎月、労働者の賃金、労働時間及び雇用の変動を明らかにする目的で行っている「毎月勤労統計調査」である。
次に、知事答弁で小規模事業者にも賃上げの動きが広がっているのではないかと言及した理由については、本調査はサンプル調査であり、全調査対象のうち「事業所規模5人以上」を全事業所とし、その上で「事業所規模30人以上」についても統計を取っているものである。新聞報道で集計された期間において、全事業所と30人以上の事業所における賃金の前年同期比の上昇率を比較したところ、全事業所の方が高くなっており、この結果から、5~29人の小規模な事業所が賃金全体の上昇率に、より寄与していると推察したものである。

◆大和勲 委員
当委員会でも産官金労による協定の締結や価格交渉支援ツールの導入を議論したことも含め、また政労使を中心として取り組んだ成果が出てきていると思っており、この好循環を引き続き持続させなければならない。また、次のフェーズでは、中小企業の経営者が利益を削って賃上げをすることではなく、生産性を向上させることが重要になると思っている。
2月8日に地方版の政労使会議の位置づけとして「群馬働き方改革推進会議」を開催したと聞いているが、参加者や会議の内容について伺いたい。

◎金子 労働政策課長
委員の指摘のとおり、群馬労働局と群馬県で共同設置をしていた「群馬働き方改革推進会議」を、地方版政労使会議として位置付け、去る2月8日に開催したところである。同会議には群馬労働局、群馬県のほか、関東経済産業局、使用者団体、労働団体、金融機関など17団体が参加した。
会議では、国から賃金の引き上げに向けた取組や年収の壁対策、労務費の適切な転嫁のための対応として、公正取引委員会が示した指針の説明があった。群馬県からは人材育成の取組やパートナーシップ共同宣言など価格転嫁の取組について改めて説明したところである。このほか、国の業務改善助成金を活用して実際に賃金を引き上げた、従業員9名と比較的小規模な事業者から事例発表が行われた。参加団体からの主な意見としては、人材確保のために防衛的な賃上げを行っている事業者も少なくないとの意見や、生産性の向上については、小規模事業者ではどのように取り組めばよいのか分からないといった意見、価格転嫁については、様々な工夫や普及啓発活動を実施しているものの、なかなか進んでいない実情があることから、発注者、受注者及び下請け業者それぞれの協力が不可欠であるとの意見があった。

◆大和勲 委員
物価上昇に併せて賃金を上げていくことで、デフレマインドを変えるような働きかけをしてほしい。

3月8日(令和6年度関係)
付託議案について

◆大和勲 委員
全県リビングラボ推進については、非常に良い取組であると感じる一方で具体的なイメージが伝わってこないと感じている。実証フィールドの発掘・発信について、イメージを示していただくとともに、実証プロジェクトへの補助について、これまでの支援内容を伺いたい。

◎岡庭 未来投資・デジタル産業課長
全県リビングラボは、生活者の視点に立った新しい技術やアイデア、サービスを実証し、新たなビジネスの創出につなげていくものである。企業からは実証場所の確保が難しいという声を聞いていることから、あらかじめ実証場所を県で発掘し、情報発信することで実証を促し、実証を通して新しいビジネスの創出や県内投資の促進につなげたいと考えている。実証フィールドとしては、県や市町村が管理する公園や廃校を活用してドローンの飛行実証を行うことや、道路や河川を活用した自律走行搬送ロボットの実証などが考えられるほか、AIカメラやセンサーを使用した実証であれば、民間の工場やオフィス、駅等でも可能と考えられる。まずは、公有施設を優先的に発掘し、民間施設は異業種連携のプラットフォーム「ぐんま未来イノベーションLAB」の会員企業を通じて発掘していきたい。
補助の状況については、令和4年度及び令和5年度で22件のプロジェクトを採択している。社会実装に近い案件もあり、例えば、山田製作所、前橋工科大学及び渋川伊香保温泉観光協会が連携して取り組んだ、次世代型マイクロモビリティは今年中に市場投入予定である。また、両毛システムズが自社の物流倉庫を使用して、群馬大学及びミツバロジスティクスと連携して取り組んでいる、自律走行搬送ロボットを活用した物流業務効率化の実証については、来年度から倉庫内で実装される予定である。さらに中小企業の取組としては、永井製作所、石川鉄工所、土屋合成等が連携して、金型製造工程においてMRゴーグルを活用することで経験者の作業を可視化し、人手不足の解消につながる実証に取り組んでいる。県内企業のイノベーション創出につながっていると考えている。この場で22件のプロジェクトを全て紹介することはできないが、3月18日には成果発表会を開催するため、是非そちらでも御覧いただきたい。

◆大和勲 委員
先般、自由民主党の北関東三県の観光振興議連の事務局長会議に参加したところである。北関東三県の観光振興に向けて、令和6年度ではどのような事業を予定しているのか伺いたい。

◎藤田 観光魅力創出課長
北関東三県の連携については、かねてよりしっかりと取り組んでおり、現在は北関東エリアの周遊観光を促進するために、北関東三県広域観光推進協議会を設けて事業を実施している。北関東三県広域連携協議会では、海外部会、国内部会及び茨城空港利活用部会の3つの部会において、それぞれ連携事業に取り組んでいる。国内部会では、令和6年度事業として、NEXCO東日本実施の「北関東周遊フリーパス」の実施に合わせたプレゼント企画などを予定している。

◆大和勲 委員
北関東三県を周遊する方法として、リニューアル予定の「ぐんまフラワーパーク」、「国営ひたち海浜公園」及び「あしかがフラワーパーク」を活用して「花」という切り口での実施が可能と考えるが、この視点についてはどうか。また、可能であれば県としても支援していただきたいと考えるがどうか。

◎藤田 観光魅力創出課長
三県合同で作成する観光パンフレットにおいて、3施設を活用したPRについても検討していきたい。

◆大和勲 委員
3月下旬にも議連の総会が予定されており、その中でも様々な議論が出てくると思う。また話が出てくるようであれば、協調して取り組んでほしい。
「地球の歩き方」については、群馬県版の発刊とともに、栃木県版及び茨城県版の発刊も予定されていることから、「北関東編」を発刊していただけるとありがたいと考えるがどうか。

◎藤田 観光魅力創出課長
地球の歩き方編集部からは、北関東を盛り上げるため、北関東三県同時に発刊予定と聞いている。今後、どのように活用できるか、協議会で検討していきたい。

◆大和勲 委員
産業振興基本計画のうち「働きやすい職場環境づくり、多様な人材の活用推進」に関する施策では、主な取組として女性や障害者、外国人に対する取組が記載されている。この視点はもちろん大事なことであるが、私は少子高齢化や生産年齢人口が減少する中で、高年齢者の活躍が重要であると考えている。これから高齢化が進む中、また、高齢者の体力も以前と比べて向上しているが、高年齢者の活躍に関する視点についてどのように考えているのか伺いたい。

◎金子 労働政策課長
人材不足が課題となる中で、企業では高年齢者の方を戦力として活用する取組が広がっている。法令上65歳までの雇用確保措置が義務化され、それ以上については努力義務となっているが、県内で66歳以上でも働くことができる制度を設けている企業の割合は約4割まで到達している。高年齢者はその知識や経験から経済を支える重要な働き手であると考えている。高年齢者の活躍の視点については、多様な人材活躍の中の文脈の中で盛り込んではいるものの、活躍してもらうことが当然だという認識のもと、個別には取り上げていなかった。委員の御意見は今後の高年齢者の活躍を促していく上で、非常に貴重な意見だと受けとめており、産業振興基本計画の中でも高年齢者支援の取組が見えるように取扱いを検討したい。

◆大和勲 委員
ぜひ高年齢者が活躍できるような体制づくりをこれまで以上に取り組んでほしい。

所管事項

◆大和勲 委員
先日の代表質問において、我が党の井下幹事長から企業誘致の質問を行った際に、知事からは群馬県への大型投資案件を呼び込んでいきたいが、そうした場合には様々な課題の解決が求められることになるため、企業の投資を応援するスペシャルチームをつくり対応したいとの答弁があった。代表質問の中で答弁があった段階であるため、具体的なイメージはできていないかもしれないが、企業誘致のスペシャルチームとはどのようなものなのか伺いたい。

◎岡庭 未来投資・デジタル産業課長
スペシャルチームについては検討を進めているところであり、詳細に関しては答弁することができないが、市町村の担当者からは、事業用地を確保する際の農振除外の手続に非常に苦労しているとの声を聞いている。ルールに従うことは当然のことだが、市町村と農政部とのやりとりの中に産業経済部が入って、スムーズに手続が進むように取り組んでいきたいと考えている。特に、大規模な投資案件では、解決すべき課題も大きくなることから、市町村の要望を聞きながら、しっかりと対応していきたい。

◆大和勲 委員
我々も開発事業者等から農地転用が大変だという話を聞いているので、解決につなげることができるよう、検討をお願いしたい。